2023年12月28日

無期転換ルールとは?企業が対応すべき内容や注意点について解説

就労規則

無期転換ルールとは一体どのような制度なのか、気になる企業経営者も多いでしょう。無期転換ルールが適用されると、パートや派遣社員、契約社員などの有期契約労働者が申し出れば無期契約に変えられる制度です。企業側としては、無期転換ルールとは何なのか、どのような対応が必要なのかが知っておきたいでしょう。

この記事では、無期転換ルールとは何か、導入の手順、導入時の注意点について解説します。

無期転換ルールとは?

無期転換ルールとは、一定の条件を満たせば、労働者側からの申し出により有期労働契約から無期労働契約に転換できるルールのことです。このルールは、「改正労働契約法18条」(平成25年4月1日施行)で定められました。

無期転換ルールが導入されたのは、労働者の雇い止めなどに対する不安を解消し、労働者が安心して働ける社会を実現するためです。このルールが実現されることで、労働者が安定的に働けるようになるでしょう。

ここでは、無期転換ルールの細かい内容についてご説明します。

無期転換ルールの詳細な条件

無期転換ルールが適用されるのは、以下の条件を満たした場合です。

<無期転換ルールが適用されるのは以下の3条件がそろった場合>

  • 同一の企業で通算の有期労働契約が5年を超えている
  • 有期労働契約を2回以上結んでいる
  • 平成25年4月1日以降の労働契約である

上記のすべての条件を満たした契約社員やアルバイト社員などの有期契約労働者が無期契約への変更を申し出ることが可能です。たとえば、1年ごとに有期雇用契約を5回更新した場合、無期契約に変えることが可能になります。また、3年契約の場合は、2回目の契約更新がおこなわれた後に申し出ができます。

申し出を受けた企業は、断ることができません。

契約社員、派遣社員、パートタイマー、アルバイトなどがこのルールの対象になります。従業員のなかにどれくらいの対象社員がいるか確認しておくことをオススメします。

無期転換ルールの導入手順

チェックリスト

従業員の無期転換を進める手順についてご説明します。

有期契約労働者の状況を確認する

まずは、自社で働いている有期契約労働者の状況を確認します。人数、仕事内容、労働時間、契約期間、更新回数などを詳しく確認し、無期転換ルールが適用される従業員について詳しく調べてください。

無期転換後の仕事内容を考える

無期転換後の仕事内容について検討します。今後長く働いてもらうために、どのような仕事をしてもらいたいのか、役割分担などについて整理しておく必要があります。

労働条件を検討し就業規則を作成する

無期転換後の働き方について取り決めたら、労働条件を取りまとめて就業規則を作成します。

基本的には、無期転換後の労働条件は有期労働契約時の条件と同じです。しかし、契約期間が変わることで、定年の制度などもともと定められていなかった条件を新たに追加する必要などが生じます。そのため、無期転換後の労働者向けの就業規則を新たに整備する必要があります。また、就業規則を作成したら、必ず社員に周知しましょう。

運用・改善をおこなう

有期労働契約から無期労働契約への契約変更をおこない、運用を開始します。運用をおこなっていくなかで、改善が必要な場合もあります。社員とコミュニケーションを取りながら、必要に応じて制度や就業規則の改善をおこないましょう。

無期転換ルールの注意点

ビックリマークのブロック

無期転換ルールを導入していくうえで注意すべき点もあるので、ご説明します。

無期転換の申し出は拒否できない

一定の条件を満たした有期契約労働者から無期転換の申し出を受けた場合、企業側は拒否できないことに注意が必要です。申し込み後に契約期間が終了したその翌日から、契約期間の変更を適用しなければなりません

切り替え前の雇い止めは無効

無期転換ができるようになる直前に雇い止めをおこなっても、無効になる場合があります。無期転換ができるようになる直前で雇い止めをおこなったことで、訴訟が起きたケースもあるのでご注意ください。

無期転換後の就業規則を作成する

無期転換後の就業規則を作成することをオススメします。無期転換後の労働条件については、基本的に転換前と同じです。ただ、今までと違い定年制度が必要など就業規則の変更が生じるため、就業規則を作成した方がよいでしょう。

就業規則が明確になっていないとトラブルが発生する可能性もあります。トラブルを避けるため、状況に合った就業規則を作成しましょう。

無期転換後の解雇については正社員と同じ条件になる

無期転換後の解雇の条件は、正社員と同じ条件になります。正社員と同様に、定年をのぞき、雇用期間の上限を定めることはできません。

解雇理由が定年ではなく、合理的な理由を欠く場合などは、「労働契約法第16条の解雇権乱用法理」が適用され解雇が無効となることがあります。

まとめ

この記事では、無期転換ルールとは何か、導入の手順、導入時の注意点について解説しました。

無期転換ルールは一定の条件を満たした有期契約雇用の労働者が申し出れば、無期契約に転換できるものです。パート、アルバイト、派遣社員、契約社員などの有期契約雇用の労働者すべてに当てはまります。企業側は、無期転換ルールの申し出を受けた場合は断れないことを知っておく必要があるでしょう。

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