2024年01月04日

従業員から未払いの残業代を請求されたらどうすべき?対処法や放置するリスクを解説

OVERTIMEのブロックと時計

従業員から未払いの残業代を請求された場合、企業側としてはどのように対処すべきなのでしょうか?残業代などの労働条件については、法律に基づいた正しい知識が必要です。普段から残業代の未払いが発生しないようにすることはもちろんのこと、未払いが発生してしまった場合には、適切には適切に対処する必要があります。

この記事では、未払いの残業代請求がおこなわれた場合に確認すべきこと、対処法や未払い残業代を放置するリスクについて解説します。

従業員から未払いの残業代を請求された場合に確認すべきこと

従業員から未払いの残業代を請求された場合、企業として確認すべきことについてご説明します。

管理監督者かどうかの確認

残業代を請求した従業員が管理監督者だった場合、残業手当を支払う必要はありません。そのため、該当の従業員が管理監督者にあたるかどうかを、確認しましょう。

次のような要件を満たす場合に、管理監督者とみなされます。

<管理監督者の要件>

  • 重要な職務を任されている
  • 責任、権限がある
  • 労働時間で規定するのがなじまない勤務内容である
  • 管理監督者としてふさわしい待遇になっている

該当の従業員に上記の要件が当てはまらない場合は、いわゆる「名ばかり管理職」とされ、残業代の支払いが必要になる可能性もあります。また、管理監督者でも深夜手当は支給する必要があるので注意しましょう。

時効消滅成立の有無

2020年4月に民法などが改正されたことにより、残業代の時効消滅期間は、以下のようになっています。

<残業代の時効消滅期間>

  • 2020年3月までの残業代支払い分は2年間
  • 2020年4月以降の残業代支払い分は3年間

上記よりも前の残業代については時効消滅が成立していることを主張できるので、残業が発生した時期について確認しましょう。

残業を禁止されていないかの確認

残業と書かれた文字とペン

残業が禁止されているのに残業をおこなった場合、残業代は請求できません。そのため、使用者が残業を禁止していないか確認しましょう。

定時時間内に終わる業務量ではなかったと主張された場合には、仕事が残った場合の上司の指示内容などについても確認してください。

みなし残業代の支給の有無

残業代を固定で支払うみなし残業代を支給している場合は、すでに残業代を支払っていることを主張できます。ただし、みなし残業代以上の残業をしていた場合は追加で残業代を支払う必要があるので、残業時間について確認が必要です。

請求された残業代の内容確認

上記のどれも当てはまらなかった場合は、請求された残業代を詳細に確認しましょう。タイムカードや勤務記録などは必ず確認します。また、周りの従業員にヒアリングして、該当の従業員が真面目に勤務していたか、業務以外のことをしていなかったかなども調べてください。

未払いの残業代を請求された際に企業がすべきこと

給料明細とペン

未払いの残業代を請求された場合、企業が対応すべきことについてご説明します。

残業代を再計算する

支払う必要がある残業代を再計算しましょう。タイムカードや勤務記録などをさかのぼって確認し、残業手当がいくらなのかを確認します。

従業員から主張された残業代が本当に正しいのか、時効消滅分はないか、などを詳細に確認してください。

残業代の請求に対して反論できる部分をまとめる

従業員からの残業代請求の内容に対して、反論できる部分がないかをまとめておきましょう。

たとえば、上司の管理が行き届かない自宅などでサービス残業をしていなかったか、管理監督者として十分な手当を支払っていたなどです。従業員と残業代について意識がずれている場合もあるため、主張内容を詳細に確認する必要があります。

未払いの残業代請求を放置するリスクとは?

はてなマークが浮かぶ女性

未払いの残業代請求を放置すると、次でご説明するようなリスクが伴います。企業に対して影響が大きいため、これらのリスクが発生しないようにすみやかに対処する必要があります。

付加金が発生する

未払いの残業代とは別に、制裁金として未払い残業代と同額の付加金が発生する場合があります。これは、労働基準法第114条で定められています。ただし、付加金が発生するのは、裁判になって裁判所から命令があった場合です。

遅延損害金が発生する

残業代を支払わないことは民法415条の債務不履行にあたるため、遅延損害金が発生します。遅延損害金の利率は通常6%ですが、退職後の労働者に対してはさらに利率が高くなり年14.6%になってしまいます。

退職者からの請求の場合は遅延損害金が増え、さらに訴訟に進むと長期化してしまうため、注意が必要です。

刑事罰が科される

労働基準法第117条から120条で労働基準法違反に対する刑事罰が定められており、残業代の未払いに刑事罰が科されることもあります。悪質なケースでは6ヶ月以下の懲役、または、30万円以下の罰金が科せられることもあるのです。

刑事罰に発展すると、会社のイメージが大きくダウンしてしまいます。そのようなことが起きないように、残業代の未払いを請求されたら、すみやかに対処しましょう。

まとめ

この記事では、未払いの残業代請求がおこなわれた場合に確認すべきこと、対処法や未払い残業代を放置するリスクについて解説しました。残業代の未払いに対しては、正しい知識をもって適切に対処すべきことをご理解いただけたと思います。適切な対処を怠ると、付加金や遅延損害金が発生し、場合によっては刑事罰に発展する可能性もあります。

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