2024年01月09日

法定帳簿とは?帳簿の記載項目や保存期間について解説

書類に記入する様子

企業は従業員を雇うにあたり、各種帳簿を記録し管理しなければなりません。なかでも重要な帳簿を法定帳簿(法定三帳簿)と呼ばれる帳簿があり、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿の記録・管理が必要です。これらの帳簿をしっかりと管理しておけば、従業員と企業間で起きるトラブルを未然に防ぐことも可能です。

しかし、帳簿をどのようにつけておけばよいのか、保存期間や保存期間に決まりはあるのかなど、帳簿管理について悩む場合もあるでしょう。

この記事では、法定帳簿の内容や保存期間、管理方法について解説します。帳簿管理に不安がある企業経営者の方も、この記事を読めば帳簿の管理についてご理解いただけるでしょう。

法定帳簿とは?

法定帳簿とは、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿のことで、法定三帳簿とも呼ばれます。法定帳簿は労働基準法で作成が義務付けられており、記載内容や保存期間なども法令で定められていて、違反すると罰則もあります。そのため、適切に記録、管理をおこなう必要があるのです。

これらの帳簿は社会保険などの手続きをおこなう際に必要になりますし、労働基準監督署の調査が入った場合に提出を求められるケースもあります。いざという時にすぐに出せるように、日頃から適切に記録を行い正しく管理しましょう。ここでは、3種類の帳簿について記載内容などについて解説していきます。

労働者名簿

労働者名簿は、労働基準法107条で作成が義務付けられています。支店や営業所、工場などの事業所ごとに作成する必要があります。記載が必要な項目は、以下のとおりです。

<労働者名簿の記載項目>

  • 氏名
  • 生年月日
  • 性別
  • 住所
  • 従事する業務の種類(労働者が常時30人未満の会社では記載不要)
  • 雇い入れされた年月日
  • 退職した年月日とその事由
  • 死亡した年月日とその原因

上記の項目は法律で定められており、それ以外にも必要に応じて項目を設けることが可能です。上記の項目を網羅していれば、独自のフォーマットで管理してもいいことになっています。

賃金台帳

賃金台帳

賃金台帳は、労働基準法108条で作成が義務付けられています。支店や営業所、工場などの事業所単位で作成します。従業員の賃金について記録する重要な書類です。記載が必要な項目は、以下のとおりです。

<賃金台帳の記載項目>

  • 氏名
  • 性別
  • 賃金の計算期間
  • 労働日数/労働時間数
  • 時間外労働時間数
  • 深夜労働時間数
  • 休日労働時間数
  • 基本給、手当などの種類とその額
  • 控除項目とその控除額

賃金台帳は、正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態に関係なく、すべての労働者に対して作成する必要があります。ただ、日雇い労働者の場合は、「賃金の計算期間」を記載する必要はありません。

上記の項目を満たしていれば、独自のフォーマットで管理することも可能です。ただ、給与明細では上記の項目を網羅できないことが多いため、原則として給与明細だけでは管理できません。

出勤簿

出勤簿は、労働基準法などで明確に規定されているわけではありませんが、作成が義務付けられています。事業所単位で作成し、管理する必要があります。

労働時間について記録する重要な書類なので、正確に記録しなければなりません。記載が必要な項目は、以下のとおりです。

<出勤簿の記載項目>

  • 出勤日、労働日数
  • 始業、終業の時刻、休憩時間
  • 一日ごとの労働時間数
  • 時間外労働をおこなった日にち、時刻、時間数
  • 休日労働をおこなった日にち、時刻、時間数
  • 深夜労働をおこなった日にち、時刻、時間数

時間外労働なのか休日労働なのかなどがわかるように、労働時間数だけでなく時刻も記録しなければなりません。記載するフォーマットに規定はありませんが、上記の情報を網羅する必要があります。

法定帳簿の保存期間

ファイルを運ぶ女性

法定帳簿には、それぞれ以下のとおり保存期間が定められています。

・労働者名簿
労働者の死亡、退職、解雇の日から5年間(当分の間は3年)

・賃金台帳
最後に記入した日から5年間(当分の間は3年)

・出勤簿
最後に労働者が出勤した日から5年間(当分の間は3年)

なお、民法の改正に合わせて保存期間が5年に延長されていますが、経過措置として当分の間は3年とされています。

法定帳簿の保管方法

記載内容に漏れがなければ、基本的には、任意の方法で保管することが可能です。紙やエクセルで保管する、勤怠管理システムなどで保管するなどの方法があります。勤怠管理システムなどを利用すると、正確に記録ができて法改正などにも対応可能なためオススメです。

行政機関や労働基準監督署から書類の提出を求められた場合に、すみやかに提出できるようにしておきましょう。

法定帳簿の義務違反に対する罰則がある

労働基準法とペン

法定帳簿に関しては、労働基準法120条で義務違反に対する罰則が設けられており、違反すると30万円以下の罰金が科される可能性があります。必要な項目について適切に記録し、保存期間を守るようにしましょう。

まとめ

この記事では、法定帳簿の内容や保存期間、管理方法について解説しました。法定帳簿は法律で記載項目や保存期間が規定されていることがわかっていただけたと思います。また、法定帳簿について義務違反に対する罰則も設けられており、労働基準監督署などから求められた場合は、すみやかに提出しなければなりません。帳簿類を正しく記録し保管することは、企業を守るために重要な作業です。

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