2024年01月12日

非財務情報とは?非財務情報開示が求められる背景や企業の取り組みを解説

企業の分析資料とカラフルなブロック

企業を取引先や投資家、金融機関などが評価する際には、財務諸表に基づいて評価するのが一般的です。ところが、社会の変動に伴い、財務諸表で判断できる財務情報以外の、非財務情報による評価が重視されるようになっています。

この記事では、非財務情報とは何か、非財務情報の開示が求められる背景、企業の取り組みなどについて解説します。

非財務情報とは?

投資家や株主などが企業を評価する場合、キャッシュフローや貸借対照表などの財務諸表による財務情報が重視されていました。しかし、現在は財務諸表で定量的に評価できない、財務情報以外の非財務情報による評価の重要性が高まっています。

企業が今後新しい価値を創造できるのか、持続的な成長を見込めるのかなどは、財務諸表などの財務情報ではなかなか評価できません。そこで、新しい企業の価値を評価するために、非財務情報の開示が求められているのです。

非財務情報の例

非財務情報とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。非財務情報の例は、以下のとおりです。

<非財務情報の例>

  • 経営理念
  • 経営戦略や経営計画
  • コーポレートガバナンス
  • 環境や社会へ対応状況
  • 事業リスク
  • 事業機会
  • サステナビリティ(持続可能性)に対する取り組み状況
  • 人的資本

このような情報を定義して公開することは、難しい面もあります。しかし、非財務情報を開示できれば、投資家や株主などのステークホルダーが企業価値を評価しやすくなり、企業価値を高めていくことが可能です。

非財務情報の開示が求められる背景には何があるのか?

アメリカの国旗と自由の女神

非財務情報の開示が求められるようになった背景について、ご説明します。

欧米の義務化の動き

欧米を中心に非財務情報の情報開示が義務化される動きがあり、日本国内にも広がっています。

欧州委員会では2018年に非財務情報報告指令(NFRD)が施行され、従業員が500名以上の上場企業などに非財務情報の情報公開を義務付けました。具体的には、環境問題や社会問題、従業員の扱い、人権問題、腐敗防止や贈収賄、取締役会の多様性などに関する情報の開示義務です。さらに、2021年には、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)案を発表し、対象企業の拡大、開示内容の詳細化やデジタル化などが盛り込まれました。

米国では、2020年に米国証券取引委員会(SEC)が米国証券市場の上場企業に対して人的資本の情報開示を義務付けました。人的資本の情報とは、従業員の性質に応じた人材開発、誘致、維持などの情報のことです。

このような欧米の動きを受け、日本国内でも情報開示の動きが進んでいます。2021年に東京証券取引所は「コーポレートガバナンス・コード」を改訂し、上場企業に人的資本の情報開示を求めました。さらに、日本政府は2023年以降、有価証券報告書で人的資本の情報開示を求める方針です。

このように世界の動向を受け、日本国内でも非財務情報の開示が進んでいることがわかります。

環境リスクに対する意識の高まり

世界的に気候変動をはじめとする環境リスクへの意識が高まっています。

気候変動や異常気象によるリスク、人為的な環境災害、天然資源危機などは、企業経営に大きな影響を与えます。そのため、多くの企業が環境リスクに対する対応を進めており、投資家や株主などのステークホルダーによる情報開示が求められているのです。

日本国内の企業においても、気候変動をはじめとした環境リスクに対する非財務情報の開示への意識が高まりつつあります。

非財務情報開示への企業の取り組み

ESGの文字を手に持つサラリーマン

企業を評価する要素は数値化された財務情報だけではなく、非財務情報が重要視されていることをご説明しました。企業を取り巻く環境は変化しており、財務情報以外の多様な評価基準が求められているのです。

企業は、自然災害や金融危機、新型コロナウィルスによる感染症などのリスクにさらされています。投資家は、企業が環境リスクに十分備えているのか、持続可能な成長が見込めるかを含めて評価します。そのため、企業は非財務情報を可視化し、公開する取り組みをおこなっていく必要があるのです。

企業の非財務情報を明らかにしていくのは、簡単なことではありません。地道にデータを分析し投資家、消費者からのフィードバックを受けるなどして、自社の課題を認識することが重要です。積極的に非財務情報を開示していくことで投資家に自社をアピールでき、競合他社との差別化を図れるなど、長期的な企業の成長を見込めるでしょう。

まとめ

この記事では、非財務情報とは何か、非財務情報の開示が求められる背景、企業の取り組みなどについて解説しました。非財務情報とは、財務諸表などでは表せない、企業戦略や環境・社会への対応、事業リスク、サステナビリティに関する課題などの企業情報です。このような非財務情報の開示の動きが高まっており、企業として対応が求められる可能性があります。

自社でも対応が必要な場合には具体的にどのような対応が必要なのか知りたいという場合は、社労士事務所 Office Followにご相談ください。豊富なバックオフィス業務のノウハウを活かして、必要な情報を整理し対応をサポートいたします。