2024年01月16日

賃金台帳の作成は義務?記載事項や役割について解説

賃金台帳と現金

企業が従業員の管理をおこなう際に欠かせないのが、賃金台帳です。従業員に支払った賃金の状況を把握し記録しておくことは重要であり、法律で定められた義務でもあります。そのため、賃金台帳の記載事項や役割について、正しく理解しておく必要があるでしょう。

この記事では、賃金台帳の記載事項や役割、作成しないとどうなるかなどについて解説します。この記事を読めば、賃金台帳の重要性についてご理解いただけるでしょう。

賃金台帳とは

賃金台帳とは、従業員に支払った給与に関する情報を記載し保管しておくためのものです。ここでは、賃金台帳の役割や細かい記載事項などについて、詳しくご説明します。

賃金台帳の役割

賃金台帳は、従業員への賃金の支払い状況を記録する重要な帳簿です。賃金支払いに関して従業員とトラブルが発生した場合にも、支払い状況が記録されていればトラブルを回避できる可能性もあります。

賃金台帳の作成は法律で義務付けられていますが、賃金の支払い状況を記録することは、企業にとって重要なことです。そのため、日頃から賃金台帳を適切に記録し、保管しておきましょう。

賃金台帳の記載対象者

賃金台帳の記載対象者は、すべての従業員です。正社員、パート、アルバイト、契約社員などの雇用形態に関わらず、従業員全員について賃金台帳に記載しなければなりません。

賃金台帳の記載事項

給料明細

賃金台帳に記載する内容についてご説明します。

・賃金計算期間
いつからいつまでの賃金の記録なのかという、賃金計算の対象となる期間を明記します。たとえば、月末締めの場合は「4月1日から4月30日」などです。

・労働日数・労働時間数
賃金計算期間内に、該当従業員が働いた労働日数と労働時間を記載します。たとえば、1日7.5時間、月に20日勤務する場合は、7.5時間×20日です。

・時間外・深夜・休日労働時間数
賃金計算期間内に該当従業員が時間外労働、深夜労働、休日労働を行った労働時間数を記載します。

時間外や休日労働時間については、社内の就業規則に従って算出します。深夜労働時間は、22時から翌朝5時までの間に働いた時間数です。

・基本給・各種手当
該当従業員の基本給と各種手当を記載します。各種手当は通勤手当や資格手当、役員手当など、社内の就業規則に定められているものです。

・控除される金額
給料から控除される、健康保険料、厚生年金保険料などの社会保険料や、所得税、組合費などの金額を記載します。

賃金台帳の保存期間

賃金台帳を保管する期間は、原則として3年です。保存期間の起算日は、従業員に支払った給与に関して賃金台帳を記載した日です。

なお、2020年に法律が改正され、保存期間が3年から5年に延長されました。当分の間は3年でよいとされていますが、いずれ完全に5年になる可能性もあるため準備をしておくとよいでしょう。

賃金台帳の作成は法律で義務付けられている

裁判の判決

賃金台帳を作成することは、労働基準法第108条で義務付けられています。原則としてすべての従業員の賃金台帳を作成し、保管しなければなりません。

労働基準法で作成が義務付けられているのは、賃金台帳以外にも労働者名簿、出勤簿があります。この3つの帳簿は「法定三帳簿」と呼ばれ、従業員がいる企業は作成しなければなりません。企業の労務管理者は、これらの帳簿を適切に作成し、保管・管理しましょう。

給与明細は賃金台帳として代用できない

賃金台帳に記載されている項目の多くは給与明細に書いてあるので、給与明細で代用したいと考える人も多いでしょう。しかし、給与明細では賃金台帳を代用できません。

前述したとおり、賃金台帳は法定三帳簿のひとつであり、法律で作成することが義務付けられているためです。

また、給与明細と賃金台帳の役割は異なります。給与明細は給与の詳細や控除内容を従業員に通知するための書類です。一方、賃金台帳は賃金に関する情報を社内で記録・保管しておくものであり、それぞれの役割はまったく異なります。

そのため、賃金台帳と給与明細は、それぞれ適切に作成しなければなりません。

賃金台帳を作成しなかった場合の罰則

賃金台帳を作成しない場合は、罰則があります。罰則が科される可能性があるのは、以下のような場合です。

  • 規定どおりに賃金台帳を作成しなかった場合
  • 保存期間内に破棄してしまった場合
  • 記入漏れがある場合
  • 虚偽の内容を記載した場合  など

罰則は、労働基準監督署からの是正勧告や30万円以下の罰金などです。

まとめ

この記事では、賃金台帳の記載事項や役割、作成しないとどうなるかなどについて解説しました。賃金台帳は従業員に支払う賃金の情報を記録しておく重要な帳簿です。賃金台帳の作成は法律で義務付けられているため、適切に作成し、社内に保管しておかなければなりません。

しかし、人手不足などの理由で賃金台帳などの帳簿を管理するのが難しい、専門家に任せたいという企業も多いかもしれません。そのような場合は、社労士事務所 Office Followにぜひご相談ください。給与計算代行や労務管理などを通して貴社のお手伝いをします。