2024年05月13日

欠勤とは?その他の休みとの違いや社員が欠勤した場合の注意点を徹底解説

給与 欠勤日数

欠勤とは社員が会社を休む行為のことですが、会社を休む行為には公休や有給などもあるため、それぞれ具体的に何が違うのかわからない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、欠勤とは何かという基本情報から、その他の休みとの違い、社員が欠勤したときの注意点などを徹底解説していきます。コラムの最後には欠勤に関するQ&Aも載せていますので、ぜひ参考にしてください。

欠勤とはどんな意味?その他の休みと何が違う?

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欠勤とは、自己都合で会社を休む行為を表した言葉です。会社には従業員が働いた対価として賃金を支払う義務がある一方、従業員には会社が指定する日時に出勤する義務があります。

従業員が欠勤した場合は契約違反と見なされるため、会社側は従業員に対し、なんらかの罰則を適用することも可能です。ただし、欠勤に対する罰則は労働基準法で決められているわけではないので、絶対ではありません。

さて、会社を休む行為には欠勤だけでなく、公休や有給休暇、休業があります。それぞれどのような休みのことを表すのか、一度整理しておきましょう。

公休

公休とは、会社があらかじめ設定している休みのことです。一般企業で働いている方の多くは、土日や祝日、年末年始などがそれにあたります。工場や運送会社で働いている方の場合、勤務日はシフトによって変動する場合もありますが、社内規定に記載されている曜日が公休日です。

公休は労働基準法で設定が義務付けられている休みなので、公休日に仕事を入れる場合は、別日に休みを設定するか、休日出勤手当を支払わなければいけません。これらの対応を怠った場合、会社側は労働基準法を違反していることになるので、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

有給休暇

有給休暇とは、継続勤務期間が6ヶ月以上になる従業員のうち、出勤率が8割以上の人に認められている自己申告制の休みです。2019年4月に改正された労働基準法では、1年間で最低5日間の有給取得が義務付けられています。

有給休暇は欠勤と異なり、従業員があらかじめ休みを申告して会社から承認を得ているほか、休んでいる間も出勤扱いとなるため、給料を支給される点がポイントです。会社は従業員から有給の申請があった場合、どんな理由であれ原則承認しなくてはならず、承認しなかった場合は労働基準法違反となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

休職

休職は欠勤と同様、自己都合で会社を休む行為ですが、事前に従業員と会社で話し合いをし、休む期間を決めて長期間休むことを許されています。しかし、求職の定義は労働基準法などの法令で決められておらず、各企業にゆだねられているので、理由によっては休職扱いにできない場合もある点に要注意です。

休職は欠勤と同様、休んでいる間の給料は支払われません。ただし、傷病休業の場合は協会けんぽ、または健康保険組合から傷病手当が支給される場合があります。

休業

休業とは、会社側の都合で決められた休暇のことです。一般的には施設の建て替えや業績悪化、感染症対策などが休業を実施する理由に当てはまります。

休業中は社員が最低限の生活を送れるように、会社側は休業手当を支払わなければなりません。休業手当は平均賃金の6割以上と労働基準法の第26条で制定されているので、もしもの場合は必ず支払ってください。

万が一、休業手当を支払えなかった場合でも、5年以内に社員から請求があった際は、未払い金に加え未払い金と同額の付加金の支払いが命ぜられます。

社員が欠勤したときの注意点

ミーティングするビジネスマン

社員が欠勤したときは以下の点に注意をし、適切な判断を下しましょう。

 

  •  有給が余っていても欠勤は自動で有給にはならない
  •  日給月給制の場合、欠勤した日の給料は差し引いていい
  •  無断欠勤が長期で続いていても、いきなり解雇はできない

 

ひとつずつ解説していきます。

有給が余っていても欠勤は自動で有給にはならない

「有給」の項目で解説したとおり、有給は事前に申請を行ったのち、会社が承認を出して初めて休みが実現します。そのため、有給が余っているからといって、急に自己都合で休んだ欠勤を有給に振り替えることはできません。

ただし、欠勤を有給に振り替える行為は法令違反ではないので、会社側が承諾すれば振り替えです。企業によってはインフルエンザなどで欠勤した社員が有給への振り替えを希望した場合、承諾するケースはよくある話ですから、申請があった場合は就業規則にのっとり適切に処理を行いましょう。

日給月額制の場合、欠勤した日の給料は差し引いてよい

従業員が給料をもらうためには、会社側で指定した勤務日に仕事をしなくてはなりません。そのため、本来働くべき日に欠勤をした場合、会社側は従業員に対し、欠勤した日数分の給料を差し引くことが可能です。(ノーワーク・ノーペイの法則)

ただし、この制度が適用されるのは、日給月額制を採用している企業のみです。日給月額制とは、働いた日数分のみ給料が支払われる給与携帯のことを指します。欠勤や遅刻、早退などで勤務時間が減った場合、会社側はその分の給料を支払う義務がないので、日給月額制の企業で働いている方が欠勤で休むと、休んだ分だけ1ヶ月分の給料から減額されます。

無断欠勤が長期で続いていても、いきなり解雇はできない

何日も出勤してこない社員がいる場合でも、いきなり解雇をすると労働基準法第20条を違反したと見なされ、会社側は6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金刑に処されるため要注意です。

無断欠勤が続いている社員がいる場合、まずは2週間の様子見を行い、それでも出社しない場合は、一度「このままでは解雇になりますよ」という旨を社員に通達しなくてはなりません。通達を出しても社員が出社してこない場合、ここで初めて解雇を言い渡すことが可能です。

ただし、2週間以上の無断欠勤が続いており、労働基準監督署から認定を受けた場合は、通達なしで即時解雇が認められます。

欠勤に関するQ&A

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最後に、欠勤に関して多くの方が気になる質問へQ&A方式で回答していきましょう。

Q.欠勤は休日出勤でカバーさせてもいい?

A.欠勤は休日出勤でカバーさせてもいいですが、多くのコストがかかります。労働基準法の第37条で制定されているとおり、会社は社員に休日出勤を命じると、休日出勤手当として、割増賃金を支払わなくてはなりません。この場合、結果的に通常時より多い給料を支払う可能性が出てくることから、原則、欠勤のカバーとして休日出勤は認められないケースが多いです。

ただし、欠勤分を休日出勤でカバーする行為は違法ではないので、社員側から要求が出た場合、給料面さえ折り合いが付けば、許可を出しても構いません。

Q.欠勤は残業でカバーさせてもいい?

A.欠勤は残業でカバーさせないほうが無難です。

労働基準法の第37条で制定されているとおり、会社は社員に1日8時間以上の労働を行わせた場合、超過分の労働時間に対し、割増賃金を支払わなければなりません。そのため、欠勤分を残業でカバーさせてしまうと、結果的に通常時より多い給料を支払うことになります。

また、昨今では社員に対し1日8時間以上の労働を行わせないような取り組みが積極的に行われていますので、この観点からも欠勤を残業でカバーさせる行為は避けましょう。

Q.欠勤した社員のボーナスは減額できる?

A.欠勤はボーナスの査定に響くため、減額しても問題ありません。

ボーナスの金額は、普段の勤務態度や出勤率など、さまざまな項目をもとに査定されます。欠勤をした社員の場合、無遅刻無欠勤で勤務されている方よりも成績が低くなるため、ボーナスの金額を低くしても法令違反にはあたりません。

まとめ

今回は、欠勤とは何かについて解説してきました。会社を休む行為には、欠勤だけでなく、公休や有給休暇、求職、休業と、さまざまな種類があります。それぞれ会社としての対応が異なる上、適切な対応を取らなければ懲役刑や罰金刑といった重い罰を受けることもあるので、経営者の方は労働基準法について把握しておきましょう。

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