DX認定制度とはどんな制度?取得方法やメリットを具体的に解説
DX化を進める際、企業にとって大きなメリットとなるのがDX認定制度の取得です。DX認定制度を取得すると、資金面で優遇を受けられるだけでなく、顧客や取引先など外部からの印象もよくなるので、DX化を進めるのであれば、第一に取得を目指しましょう。
今回は、DX認定制度の基本情報から、取得方法、ならびに取得によるメリットを具体的に解説します。
DX認定制度とは
DX認定制度とは、「デジタルガバナンス・コード」にもとづき、DX推進の準備が整っている企業を国が認める制度です。
DX認定を受けた企業は、顧客や取引先などにDXに対して積極的に取り組んでいることをアピールできるだけでなく、金銭的なメリットも得られます。経済産業省のレポートによると、DX化が進まない場合、日本は2025年以降、最大12億円の経済損失が生まれる可能性があるとしています。そのため、DX化が進んでいない企業は、速やかにDX化を進めましょう。
DX認定の基準「デジタルガバナンス・コード」
DX認定制度を取得するためには、経済産業省によって定められている「デジタルガバナンス・コード」にもとづき、以下6項目を証明・発表する必要があります。
<DX認定基準>
- 経営ビジョンの策定
- DX戦略の策定
- DX戦略の達成度を測る指標の決定
- DX戦略の推進状況などの対外発信
- DX推進指標などを用いた自己分析結果による課題把握
- サイバーセキュリティ対策の推進
ここでは、各項目で具体的に何をしたらいいのかを解説していきましょう。
経営ビジョンの策定
「経営ビジョンの策定」は、主に以下の流れで進めていきます。
- 自社のビジネス状況や経営環境の現状を整理する
- デジタル技術による社会や自社の競争環境への影響を分析する
- 1・2を前提に経営ビジョンをまとめる
- 3でまとめた経営ビジョンを実現するために必要なビジネスモデルの方向性を決める
ビジネスモデルの方向性が確定したら、取締役などの社内機関で承認をとり、自社ホームページなどで公表しましょう。
DX戦略の策定
「DX戦略の策定」では、経営ビジョンにもとづくビジネスモデルを実現するための戦略を検討します。ただし、戦略を立案する際は、デジタル技術によるデータ活用を必ず組み込まなければなりません。
また、DX戦略を立案する際は、以下の内容も含みましょう。
- 戦略を進めるために必要な組織や体制、人材の育成や確保案の検討
- 具体的な人材確保・育成または外部組織との関係構築・協業などに関する検討
- ITシステムやデジタル技術の活用環境を整備する方策や、具体的な推進活動計画の検討
DX戦略の策定が完了したら、こちらも社内の取締役などの社内機関で承認をとり、公表してください。
DX戦略の達成度を測る指標の決定
「DX戦略の達成度を測る指標の決定」では、DX戦略の推進管理体制を策定し、目標を達成するために重要となる業績評価の指標(KPI)を検討します。
(例)指標として有効な例
- DX戦略の実施により得られた効果を評価する指標
- 企業価値の創造にかかる指標
- DX戦略で定めた計画の進歩を評価する指標
また、DX戦略の推進状況を管理するための仕組みも検討し、決定させましょう。具体的には、デジタル時代に適応した企業変革が実現できているかの指標を定めたのち、自己評価できる体制を組むといいです。指標が決定したら、自社サイトなどで内容を公表しましょう。
DX戦略の推進状況などの対外発信
上記で決定したDX戦略の推進状況は、経営者からステークホルダーへ公表しなければなりません。情報は企業発信ではなく、経営者発信であることが大切なので、情報公開時は経営者の氏名を忘れず記載しましょう。
DX推進指標などを用いた自己分析結果による課題把握
DX認定を受けるためには、推進計画を立てて実行するだけでなく、実行したことで見えてくる課題も把握しなければなりません。
具体的には、経営者が指揮をとり、自社ITシステムの現状や、デジタル技術にかかる動向の自己分析を行います。ただし、課題把握を証明するためには、DX推進指標などを用いて自己分析を行っている説明文章などを、DX認定制度申し込み時に提出する必要があるので、準備しておきましょう。
サイバーセキュリティ対策の推進
DX戦略を進めていく上で、サイバーセキュリティ対策は欠かせません。
DX認定制度を申し込む際は、「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」に記載されたチェックシートを元に、セキュリティ監査が行われている証明文章の提出が必要です。
ただし、中小企業の場合はIPAが定めたセキュリティアクション制度にもとづき、以下の条件を満たしたあと、ホームページなどに「二つ星を宣言しました」と記載する方法でも認められます。
<セキュリティアクションの二つ星獲得条件>
- IPAが提供している「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」で自社の状況を把握する
- 情報セキュリティポリシーを定め、外部に公開する
DX認定制度4つのメリット
DX認定制度を取得すると、以下4つのメリットが得られます。
<DX認定制度による4つのメリット>
- 中小企業は基本より低い利率で融資を受けられる
- ロゴマークを利用できる
- 税制による支援措置が受けられる
- DX銘柄への応募資格が得られる
それぞれ解説していきましょう。
①中小企業は基本より低い利率で融資を受けられる
DX認定制度を取得すると、DX化に伴う設備投資にかかる費用に対し、日本政策金融公庫からの融資を基準利率(1.20%)より低い0.75%で受けられます。
電子計算ソフトやインターネット周辺機器(Wi-Fiルーターやモデム、ケーブルなど)、多軸産業用ロボット装置などを導入したい中小企業は、DX認定制度を受けておくと、有利です。
②ロゴマークを利用できる
DX認定制度を取得すると、DX推進ポータル内で配布されているロゴマークをホームページや名刺などに掲載できます。ロゴマークを掲載すると、社内だけでなく取引先や顧客にも積極的にDX化へ取り組んでいると証明できるため、会社のイメージを向上させることが可能です。
③税制による支援措置が受けられる
DX認定制度を取得すると、以下の内容に対し、最大5%の税額控除または30%の特別償却を受けられます。
- ソフトウェアの取得や製作にかかる費用
- クラウド技術を活用したシステム移行に関する初期費用
- これらを取得・製作する際の機器設置や器具備品代
DX化を1から始める場合、多くの設備投資が必要ですが、DX認定制度を受けておけば、このような支援が受けられるため安心です。
④DX銘柄への応募資格が得られる
DX認定制度を取得すると、DX銘柄への応募資格が得られます。DX銘柄とは、東京証券取引に上場している企業のうち、企業価値の向上につながるDX推進事業へ積極的に取り組み、デジタル活用実績が優れている企業のことです。
DX銘柄に選ばれると社会からさらなる信頼を得られる上、経済産業省のホームページに企業名が掲載されるので、知名度もアップします。
DX認定制度の申請手順
DX認定制度を受けたい場合は、下記手順で申請を行いましょう。
<DX認定制度の申請手順>
- 「申請のガイダンス」を読み、申請要件を満たしているか確認する
- 申請書類をダウンロードし、書類を作成する
- 「DX推進ポータル」から必要書類を提出する
DX認定制度の申請書類は、IPAの「DX認定制度のご案内」よりダウンロードできます。また、書類をDX推進ポータルから提出する際は、作成した書類だけでなく、必要に応じて追加資料も添付しましょう。
DX認定制度の認定事業者として認められると、DX推進ポータルの「認定事業者一覧」に掲載されます。
まとめ
DX化の推進に注目されている今、DX認定制度を取得すると、顧客や外部からの印象だけでなく信頼度も向上します。企業の印象や信頼度が向上すると、売り上げが上がり、DX人材も確保しやすくなるなど多くのメリットが得られるのです。DX推進を検討している場合は、まずDX認定の取得を目指しましょう。
株式会社Office Followでは、中小企業の経営者様向けにDX推進支援を実施しております。DX認定の取得を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。