2024年04月26日

男性も育休を取得できる!期間や取得方法を、2022年4月からの制度をもとに解説します

子育てをするお父さん

女性の取得率85.1%に比べて13.97%と非常に低い男性の育休取得率(2021年厚生労働省調べ)。この状況を向上させるべく法改正がなされ、2022年4月から「パパ・ママ育休プラス」などの新制度が段階的に実施されてきています。

今回はそんな男性の育休制度について、基本的な情報や、ケース別に取得可能な期間などについての最新情報を詳しく解説していきます。とくに人事担当になったばかりの方は、今後ますます増えていく男性の育休取得について、しっかりと勉強しておくようにしましょう。

【基本知識】育休(育児休業)制度とは

育休のブロック

まずは育児休業制度(通称:育休)についての、基本的な知識を身につけておきましょう。

育休は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)」で定められた休業制度です。原則として、労働者が1歳未満の子どもを育てるために取得できる休業ということになります。さらに要件を満たせば、育児休業中に「出生時育児給付金」の給付対象となったり、社会保険料免除となったりなどのメリットもあります。

2022年の育児・介護休業法の改正を受け、企業側には、育休を取得しやすい雇用環境整備や労働者に対する個別の周知・意向確認の措置、育休取得状況の公表などが義務付けられています。

【育児休業(育休)制度】取得可能な人とは

育休は、性別に関係なく、日々雇用の従業員を除いた労働者が取得可能です。また、配偶者が専業主婦(夫)の場合や育児休業中の場合でも、取得することができます。

ただし、雇用期間が定められている契約社員・パート・アルバイトといった有期雇用労働者においては、次のように定められています。

有期雇用労働者(契約社員・パート・アルバイトなど)の育休取得について
育休を取得できる従業員 子どもが1歳6ヶ月(または2歳)超となるまでに労働契約期間が満了し、更新されないことがはっきりしていないこと

※育休を申請する時点で上記要件を満たす必要あり
育休取得の対象外となる可能性がある従業員
(労使協定にて対象外とできる労働者)
・雇用期間が1年未満の従業員
・1年(1歳超の休業では6ヶ月)以内に雇用関係が終了する従業員
・所定労働日数が2日以下/週の従業員

参考:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」

それでは、育休制度についての基本的な知識を踏まえた上で、男性の育休制度について、取得可能な期間などを具体的に解説していきましょう。

男性が取得可能な育休期間はどのくらい?

子育てをする家族

育休の取得可能な期間は、新しく創設された「パパ・ママ育休プラス」や「出生時育児休業(産後パパ育休)」により、男女で少々異なります。それぞれの制度を利用した場合の、男性が取得可能な育休期間について見ていきましょう。

【男性の育休】基本的に取得できる期間とは

男性においても、基本的に取得できる育休の期間は「子どもの1歳誕生日の前日まで」となっています。この間であれば、労働者が希望する期間を育休として取得できます。こちらは、前述の育児休業制度による取得日数です。

【男性の育休】「パパ・ママ育休プラス」を利用する場合

夫婦ともに育休を取得中で、次のすべての要件を満たす場合には「パパ・ママ育休プラス」が適用されます。

【「パパ・ママ育休プラス」が適用される要件】

  •  育休取得予定者の配偶者が、子どもが1歳になるまでの間に育休中であること
  •  本人の育休開始予定日が子どもの1歳誕生日よりも前であること
  •  本人の育休開始予定日が、配偶者の育休の初日以降であること
    参考:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」

この場合、育休の対象となる子どもの年齢が、本来は「1歳まで」のところ、「1歳2ヶ月まで」延長されます。ただし、夫婦ともに、取得可能なのはそれぞれ1年間ずつとなっていますので注意しましょう。

【男性の育休】「出生時育児休業(産後パパ育休)」を利用する場合

産後パパ育休は、2022年10月の法改正で新たに創設された制度です。取得できるのは男性だけでなく、養子の場合には女性も取得でき、配偶者が専業主婦(夫)の場合でも取得可能です。

【「産後パパ育休」が適用される要件】

雇用形態 要件
雇用期間の定めのない従業員 ・男性労働者
・養子の場合は女性も取得可
有期契約労働者 ・男性労働者
・養子の場合は女性も取得可
・申請時点で、出生後8週間を経過する日の翌日から6ヶ月超までに労働契約が満了し、更新されないことがはっきりしていないこと

参考:厚生労働省「育児・介護休業法」令和3年(2021年)

この場合は、子どもが生まれた後8週間以内に、4週間までの範囲で従業員が希望する期間を「産後パパ育休」として取得することができます。また、この期間を2回に分割して取得することも可能です(申請はまとめて行う)。

【男性の育休】保育園等に入所できないなどの場合には延長可

育休取得可能期間は原則として「子どもの1歳誕生日の前日まで」となっていますが、仕事に復帰する際には子どもを保育所等へ入所させる必要があります。そこで混み合っていて入所できないなど、正当な理由がある場合には「一番上の子どもの2歳誕生日の前日まで」、育休を延長することも可能です。こちらも2回に分割して取得できます。

【育児休業(育休)制度】男性の育休取得率の傾向

仕事育児の吹き出し

冒頭でご紹介した「男性の育休取得率13.97%」ですが、こちらは法改正前となる2021年の結果となっています。男性の取得育休日数については、2015年~2021年までの間で「2週間未満が51.5%」でした。では、法改正後しばらく運用されてからはどのように変化したのでしょうか。

厚生労働省の「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査(速報値)」によると、回答企業849社における男性の育休等取得率は46.2%となり、その平均日数は46.5日となっています。法改正により、男性の育児休業等取得率だけでなく、取得平均日数についても大きく向上されていることがわかります。

参考:厚生労働省「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査(速報値)」

まとめ

2022年の法改正により、企業側に「育休を取得しやすい雇用環境整備」などが義務化され、従業員にとっても、以前に比べると男性の育休が取得しやすくなってきています。育休で従業員の生活を豊かなものにしていくことで、会社と従業員の双方がメリットを得られますので、企業側も育休取得率を向上させる努力をしていきましょう。

事業運営の安定化を目指すためにも、従業員の労働環境の整備は重要な項目のひとつです。男性の育休取得要件や取得可能期間など、雇用形態による違いがよくわからない、という方は、株式会社 Office Followまでご相談ください。