2024年04月23日

勤務間インターバル制度で社内環境を改善!導入するとどう変わる?

タイムカードと時計

勤務間インターバル制度とは、従業員に退勤後の休憩時間を十分確保させることで、仕事とプライベートを調和させながら充実した生活を過ごしてもらうための制度です。ただし、この制度は2019年4月1日に努力義務が課せられた新制度なので、内容を詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、勤務間インターバル制度の基本情報から導入するメリットとデメリット、導入する手順までをわかりやすく解説していきます。

勤務間インターバル制度とは?

勤務間インターバル制度とは、労働時間等設定改善法の改正により、2019年4月1日から、各事業所で導入するよう努力義務が課せられた制度です。

勤務間インターバル制度が導入されると、勤務終了から翌日の勤務開始まで9時間以上のインターバル(休憩時間)を確保できるため、従業員は仕事とプライベートを調和させながら充実した生活を過ごせます。

しかし、厚生労働省が発表している「令和4年就労条件総合調査」を確認すると、勤務間インターバル制度を導入している企業は全体の5.8%と非常に低いです。検討を予定している企業も12.7%と低く、現状では80.4%の企業が導入の検討も導入予定もないと回答しています。

ドイツ・フランス・イギリスでは早くから導入されている勤務間インターバル制度ですが、現状、日本では導入率が極端に低いため、今後の導入率アップが期待されます。

勤務間インターバル制度を導入するメリット

メリットとペン

勤務間インターバル制度を導入すると、以下4つのメリットが得られます。

 

<勤務間インターバル制度を導入するメリット>

  •  メリット①人材の確保および離職率の低下が期待できる
  •  メリット②従業員の健康維持・向上につながる
  •  メリット③生産性が伸びる
  •  メリット④最大100万円まで助成金が支給される

 

ひとつずつ解説していきましょう。

メリット①人材の確保および離職率の低下が期待できる

勤務間インターバル制度を導入すると、従業員は仕事に時間が割かれても十分なプライベート時間を確保できます。プライベート時間を十分に確保できる会社は外部から見ても魅力的ですし、社員からしても働きやすい環境といえるため、結果的に離職率の低下や、十分な人材確保につながります。

メリット②従業員の健康維持・向上につながる

「慢性的な睡眠不足とパフォーマンスの低下」についてアメリカが研究を行ったところ、わずかな睡眠不足でも慢性化すると、寝ているのに徹夜状態と同じ状況になることがわかっています。しかし、勤務間インターバル制度を導入すれば十分な睡眠時間を確保できるので、仕事が忙しくても従業員の健康が損なわれる心配はないのです。

メリット③生産性が伸びる

勤務間インターバル制度が導入されると、従業員は仕事が忙しくてもプライベートに十分な時間を割くことが可能です。プライベート時間を十分に確保できるとストレスも軽減されるため、仕事の効率も上がり、生産性のアップが期待できます。

メリット④最大100万円まで助成金が支給される

勤務間インターバル制度導入後、以下の成果を達成できた場合、制度導入に使用された経費の一部に対し、最大100万円の助成金が支給されます。

休憩時間 「新規導入」に該当する取り組みがある場合 「新規導入」に該当する取り組みがなく、「適用範囲の拡大」または「時間延長」に該当する取り組みがある場合
9時間以上、11時間未満 80万円 40万円
11時間以上 100万円 50万円 

※新規導入:勤務間インターバルを新たに導入し、企業に属する労働者の半数以上に適用させる
※適用範囲の拡大:9時間以上の勤務間インターバルを導入している企業のうち、制度対象者を企業に属する労働者の半数以上に拡大する
※時間延長:9時間未満の勤務間インターバルを導入している企業のうち、企業に属する労働者の半数以上に2時間以上延長した休息時間を与え、休憩時間を9時間以上に延長する

 

勤務間インターバル制度を導入すると、人員の新規獲得や退勤管理システムの見直しなどで多くのコストがかかりますが、助成金で少しでもカバーできる点は嬉しいですね。

勤務間インターバル制度を導入するデメリット

時計とパソコンで作業する手元

勤務間インターバル制度の導入には、メリットだけでなく以下3つのデメリットもあります。

 

<勤務間インターバル制度を導入するデメリット>

  •  デメリット①顧客や従業員の理解を得られるまで時間がかかる
  •  デメリット②金銭的なコストが高い
  •  デメリット③サービス残業が蔓延しやすい

 

それぞれ解説していきましょう。

デメリット①顧客や従業員の理解を得られるまで時間がかかる

勤務間インターバル制度を導入すると勤務時間がこれまでと変わるため、従業員の中には「逆に仕事がしにくい」と不満を感じる可能性もあります。また、勤務間インターバル制度の導入で始業開始時間が遅くなると、職種によっては顧客に影響が出ることもあるでしょう。

そのため、勤務間インターバル制度を導入するためには、従業員や顧客へ導入によるメリットやデメリットを丁寧に説明し、時間をかけてまわりの理解を得る必要があります。

デメリット②金銭的なコストが高い

勤務間インターバル制度を導入すると、現在より勤務時間のチェックが細かくなるため、多くの場合、社員の退勤時間を管理するシステムを見直さなくてはなりません。また、休憩時間が延びるぶん1人あたりの勤務時間も短くなるので、足りない部分を補うために人員を補給するための費用がかかる場合もあるでしょう。

このことから、勤務間インターバル制度を導入すると、大きなコストがかかります。ただし、国が定める目標を達成できた場合は最大100万円の助成金が支給されるので、多少のコストカットは見込めます。

デメリット③サービス残業が蔓延しやすい

勤務間インターバル制度を導入すると、最低9時間以上の休憩時間を確保するために残業ができなくなる場合があります。残業ができない場合、残った仕事を自宅に持ち帰ってサービス残業をする社員が出てくる可能性が出るので、この点は要注意です。

サービス残業が行われてしまうと、勤務間インターバル制度を導入した意味がなくなってしまいます。そのため、制度を導入する際は業務の効率化をはかり、社員が仕事を持ち帰らなくても良くなる環境つくりを同時に行うことが大切です。

勤務間インターバル制度の導入手順

黒板に書かれたステップ1から3

勤務間インターバル制度を導入したい企業は、下記手順で導入を進めましょう。

 

<勤務間インターバル制度の導入手順>

  1.  従業員の就業状況を把握する
  2.  制度の詳細を決定する
  3.  制度を導入し、運用する
  4. 導入結果の確認や改善点を洗い出す

 

このうち、手順2の「制度の詳細を決定する」では主に以下の項目を決めておくと、その後の対応がスムーズに進みます。

 

  •  インターバル時間の設定
  •  インターバル制度を適用させる社員の範囲
  •  インターバル時間が翌日の業務開始時間を超える場合の対応
  •  インターバル時間が適用されない業務内容
  •  インターバル時間確保の申請方法
  •  インターバル時間を確保できなかったときの対処法
  •  労働時間の管理方法

 

まとめ

勤務間インターバル制度とは、退勤後の休憩時間を最低でも9時間以上確保するための取り組みです。9時間以上の休憩時間を確保できれば、社員のストレスも緩和されて仕事の生産性も上がり、健康の維持・向上にもつながるため、今よりも会社の労働環境が改善されるでしょう。

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