DXリテラシー標準とは?身につけるべきスキルを具体的に解説!
社内のDX化を進めるためには、会社のトップだけでなく、社員全員がDX化について理解や知識を深めておく必要があります。そんなときに役立つのが、DXリテラシー標準です。
DXリテラシー標準には、DX化を進める上で社会人が身につけるべきスキルや能力が細かく記載されているため、これからDX化を進めるのであれば、DXリテラシー標準を教科書として進めていきましょう。今回は、DXリテラシー標準の概要や、身につけるべきスキルなどを具体的に解説します。
DXリテラシー標準とは?
DXリテラシー標準とは、すべての社会人が身につけるべきスキルや能力の指針であり、経済産業省が定めている「デジタルスキル標準」を構成するうちのひとつです。
目まぐるしく変化するデジタル社会の中で、誰もが臨機応変な対応をとれるようになるためには、管理職から新入社員まで、全員がDXリテラシーを身につけることが大切だという考えからDXリテラシー標準は生まれました。
デジタルスキル標準との関係性
デジタルスキル標準は、今回解説している「DXリテラシー標準」だけでなく、「DX推進スキル標準」とともに構成されている指針です。
社内のDX化を進めるためには、社員1人ひとりがDXリテラシーをもつ(DXリテラシー標準)だけでなく、DXを推進する人物の確保や育成(DX推進スキル標準)も必要という考えから生まれました。そのため、デジタルスキル標準は、DXリテラシー標準の親的指針であるといえます。
DXリテラシー標準の内容
DXリテラシー標準は、以下4つの内容で構成されています。
<DXリテラシー標準の内容>
- マインド・スタンス
- Why(DXの背景)
- What(DXで活用されるデータ・技術)
- How(データ・技術の活用)
DXリテラシー標準には、DX化を進める場合、上記4つのスキルをもっておくことが大切だと記載されています。とはいえ、具体的に何をすればいいのか、この言葉を見ただけではわかりにくいでしょう。そこで、この項目ではDXリテラシー標準の構成内容をもとに、具体的な行動を解説します。
マインド・スタンス
「マインド・スタンス」とは、日々変わりゆく社会の中でも新しく価値を生み出すために必要なマインドやスタンスを理解しており、自分の行動を振り返られるスキルのことです。マインド・スタンスは各スキルの根底でもあるので、DX化を進める際は、まずマインド・スタンスのスキルを獲得できうるように動きましょう。
マインド・スタンスのスキルを獲得するためには、以下7つの姿勢を身につけることが大切だとDXリテラシー標準に記載されています。
<マインド・スタンスのスキルを確保するために必要な姿勢>
- 顧客・ユーザーへの共感
- 常識にとらわれない発想
- 反復的なアプローチ
- 変化への適応
- コラボレーション
- 柔軟な意志決定
- 事実に基づく判断
それぞれどのような意味をもつのか、解説していきます。
顧客・ユーザーへの共感
「顧客・ユーザーへの共感」とは、見てわかることや現在起きている困りごとだけで判断するのではなく、顧客やユーザーの抱く理想まで考え、本質的なニーズを見つけ出す姿勢です。
常識にとらわれない発想
「常識にとらわれない発想」とは、デジタル技術は現在進行形でさまざまなツールが生まれているため、従来のやり方を基盤とするのではなく、これまでにないやり方も積極的に検討する姿勢です。
反復的なアプローチ
「反復的なアプローチ」とは、やり方を刷新したり新しいプロジェクトを開始したりする際、いきなり本格始動するのではなく、まずはトライアル的に開始し、フィードバックを重ねてよりいいものにしていくことです。
変化への適応
「変化への適応」とは、必要と思われる学習は自主的に行い、変化する社会の中で、これまで学んできた知識やスキルを必要に応じてバージョンアップすることです。
コラボレーション
「コラボレーション」とは、社内の人間だけでなく、積極的に社外の人間とも関わり、多様性を認める姿勢のことです。
柔軟な意志決定
「柔軟な意志決定」とは、前例がないものでも価値創造に必要であれば、臨機応援に意志決定を行う姿勢です。
事実に基づく判断
「事実に基づく判断」とは、これまでの経験値や勘ではなく、客観的なデータをもとに物事を判断する姿勢のことです。
Why(DXの背景)
Why(DXの背景)とは、人々が重視する価値や社会、経済の環境がどのように変化するか理解しており、DXの重要性を理解できるスキルです。
Whyのスキルを獲得するためには、以下3つの姿勢を身につけることが大切だとDXリテラシー標準に記載されています。
<Whyのスキルを確保するために必要な姿勢>
- 社会の変化
- 顧客価値の変化
- 競争環境の変化
それぞれどのような意味をもつのか、解説していきましょう。
社会の変化
「社会の変化」とは、DXの必要性を知るために世界や日本で起きている変化を敏感に察知し、くらしの改善や社会課題解決のためにデータやデジタル技術の活用が有効であると知る姿勢です。
顧客価値の変化
「顧客価値の変化」とは、ユーザーや顧客がデジタル技術の発展により、どのように変化しているのかを正しく理解する姿勢です。
競争環境の変化
「競争環境の変化」とは、デジタル技術の発展により、国境を越えたサービスの提供や新規事業への参入が容易になってきていることを理解し、自社の競争環境の変化を知る姿勢です。
What(DXで活用されるデータ・技術)
What(DXで活用されるデータ・技術)とは、DX推進に欠かせないデータやデジタル技術に関する最新情報を知り、各技術の仕組みや誕生した背景などについて知識を深められるスキルです。
Whatのスキルを獲得するためには、以下8つの姿勢を身につけることが大切だとDXリテラシー標準に記載されています。
<Whatのスキルを確保するために必要な姿勢>
- 社会におけるデータ
- データを読む・説明する
- データを扱う
- データによって判断する
- AI
- クラウド
- ハードウェア・ソフトウェア
- ネットワーク
それぞれどのような意味をもつのか、解説していきましょう。
社会におけるデータ
「社会におけるデータ」とは、ビッグデータがどのように社会で活用されているのか、また、数字・文字・画像・音声・動画・行動履歴など、さまざまなデータが社会で活用されている現状を知る姿勢です。
データを読む・説明する
「データを読む・説明する」とは、経営や業務における意志決定を行うために、データの分析方法や結果の読み取り方を理解しているだけでなく、結果を適切に説明する方法も理解している姿勢です。
データを扱う
「データを扱う」とは、データ利用に欠かせない技術であるデータベースの仕組みを把握し、データの抽出や加工、出力に関する手法を理解している姿勢です。
データによって判断する
「データによって判断する」とは、データを活用する意味や最適な分析方法を理解し、期待と異なる結果が出ても重要なデータとして捉え、改善策をトライアンドエラーで繰り返すことができる姿勢です。
AI
「AI」とは、AIが生まれた背景や仕組み、急速に広まった理由を理解し、AIでできること、できないこと、活用の可能性や精度を高めるポイントを追求していく姿勢です。
クラウド
「クラウド」とは、自社に情報システムを保有してサーバーを運用するオンプレミスと、外部で情報システムを運用するクラウドの違いを理解しているだけでなく、クラウドサービスの提供形態にも知識がある姿勢です。
ハードウェア・ソフトウェア
「ハードウェア・ソフトウェア」とは、コンピュータやスマートフォンが動く仕組みを理解しており、社内のさまざまなシステムがどのように作られているのかも把握している姿勢です。
ネットワーク
「ネットワーク」とは、インターネットの基礎知識であるネットワークの仕組みを理解しており、日常生活で効果的にインターネットの技術を利用できる姿勢です。
How(データ・技術の活用)
How(データ・技術の活用)とは、データやデジタル技術の活用事例を理解し、基本的なツールの使い方や注意点を身につけた上で、業務に活用できるスキルです。
Howのスキルを獲得するためには、以下5つの姿勢を身につけるべきだとDXリテラシー標準に記載されています。
<Howのスキルを確保するために必要な姿勢>
- データ・デジタル技術の活用事例
- ツール活用
- セキュリティ
- モラル
- コンプライアンス
それぞれどのような意味をもつのか、解説していきましょう。
データ・デジタル技術の活用事例
「データ・デジタル技術の活用事例」とは、さまざまなビジネスシーで活用されているデータやデジタル技術が自身の業務において、どのように活用できるかを想像するため、具体的な事例に接する姿勢です。
ツール活用
「ツール活用」とは、DX推進や日常の業務において、状況に合わせて適切なツールを選択できる知識をもち、メジャーでないツールに関しても基礎知識を身につけておく姿勢です。
セキュリティ
「セキュリティ」とは、安心してデータやデジタル技術を活用するために、セキュリティ技術の仕組みと個人がとるべき対策に関心をもつ姿勢です。
モラル
「モラル」とは、インターネット上でも適切にコミュニケーションをとることはもちろん、改ざん・ねつ造、盗用などデータ分析における禁止事項を厳守できる姿勢です。
コンプライアンス
「コンプライアンス」とは、データを扱うにあたり、自身の業務が法令違反になっていないか確認できるのはもちろん、諸外国のデータ規則が日本でも適用される旨を熟知している姿勢です。
DXリテラシーを効率よく身につける方法
DXリテラシーを全社員に効率よく身につけさせるためには、ここまで解説してきたDXリテラシー標準に基づき、以下の順で活動を行ってみましょう。
【DXリテラシーを効率よく身につける方法】
手順 | 方法 | 参考になるDX標準 |
---|---|---|
1 | ワークショップを開き、DXに対する動機付けを行う | ・マインド・スタンス ・Why |
2 | 自主学習や社内研修などで、DXリテラシーを習得する | ・What ・How |
3 | ワークショップを開き、知識を活用する場を増やす | ・What ・How |
手順2と3を繰り返し行うと、全社員にDXリテラシーが身につくだけでなく、DX人材も育成されます。DX人材の不足は日本企業の大きな課題ですから、DX推進が進んでいない企業は、ぜひDXリテラシー標準をもとにDX人材の確保も目指してみてください。
まとめ
DXリテラシー標準は、デジタルスキル標準を構成するひとつの要素であり、全社会人が身につけるべきスキルが記載されている指針です。DXリテラシーが身につくと、日々変化するデジタル社会でも臨機応変に対応できるDX人材を育成できますので、DX推進を目指すのであれば、まずDXリテラシーを身につけるところからスタートしてみましょう。
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