2024年04月18日

休日出勤は必ず割増賃金が発生する?休日の種類や給与の計算方法も解説

給与支給明細書

労働義務がない休日に出勤した場合、所定の条件を満たすと割増料金が支給されます。ただし、すべての休日が割増料金の対象とは限りません。従業員の給与を法定通りに計算するためには、割り増し発生の有無を正確に判断する必要があるのです。

そこでこの記事では、休日出勤に伴う割増賃金の有無を合計6つのシチュエーション別に解説します。休日の種類や、割増料金率についてもご紹介しますので、ご参考にしてください。

休日の種類は「法定休日」と「法定外休日」の2種類

一口に休日といっても、以下の2種類に分類でき、労働基準法により義務付けられた休日か否かが異なります。

 

<休日の種類>

  • 法定休日
  • 法定外休日
  • その他の休日

 

割増賃金の原則を知るために、まずは休日の種類の違いを整理しておきましょう。

法定休日とは

法定休日とは、労働基準法により定められている休日です。会社は従業員に対して、最低でも週に一度の休日を与えなければなりません。就業規則により特定の曜日を法定休日として指定しますが、指定しない場合は土曜日が法定休日となります。

法定外休日とは

法定外休日(所定休日)は、労働基準法による義務には該当しない休日です。同法により1週間の労働時間は40時間に制限されるため、多くの会社は週2日の休日を設けます。先述した法定休日に準ずる休日として明記するのが法定外休日で、法定休日とは就業規則などが異なります。

その他の休日

その他には以下のような休日があります。

 

<その他の休日>

  • 振替休日
  • 代休
  • 祝日

 

原則として振替休日は割り増しの対象には含まれません。一方の代休では割増賃金が発生し、祝日はケースによって異なります。具体的には次の項目をご覧ください。

休日出勤の割増賃金率は最大35%

割増賃金とフィギュア

休日料金の割増料金率は、休日の種類と状況により異なります。

【休日の種類ごとに見た割増料金率】

休日の種類 割増料金率
法定休日 35%
法定外休日・振替休日 25%(法定労働時間をオーバーした場合のみ)
代休 35%
祝日  ・法定休日に指定されている場合
・法定休日に出勤し代休を取得した場合
35%
・法定外休日に出勤した場合 25%
・事前の通知を受け振替休日をとり出勤した場合 なし

法定休日に出勤した従業員に対しては、その週の法定労働時間とは無関係に35%の割増賃金を支払わなければなりません。法定外休日の場合、週40時間もしくは1日8時間の法定労働時間を超えた部分に対して25%の割り増しとなります。この原則はその他の休日も同様です。

深夜労働を伴う場合は25%が追加される

法定休日の出勤に深夜労働を伴う場合は、さらに25%の割増賃金が追加されます。先述した35%の割増賃金を加えた場合の割増料金率は60%です。休日出勤の賃金を正確に計算する場合は、従業員が労働した時間帯にも注目する必要があるため、注意しましょう。

休日出勤に伴い割増賃金が発生する3つのシチュエーション

この項目では、休日出勤で割増料金が発生するシチュエーションを具体的にご紹介します。

 

<休日出勤に伴い割増料金が発生する3つのシチュエーション>

  1.  法定休日に出勤した場合
  2.  出勤後に代休を取得した場合
  3.  法定外休日に法定労働時間をオーバーして働いた場合

 

順番に確認していきましょう。

①法定休日に出勤した場合

会社が定める法定休日に出勤した場合は、法定労働時間とは無関係に、35%の割増賃金が発生します。たとえば日曜日の法定休日に、時給換算2,000円の社員が5時間労働した場合は、割増賃金を加えて13,500円の報酬が発生します。

②出勤後に代休を取得した場合

代休は、法定休日に出勤した従業員が取得できる休暇です。法定休日に出勤したとみなされるため、この場合も原則として35%の割増賃金が発生します。

③法定外休日に法定労働時間をオーバーして働いた場合

法定外休日に出勤し、かつ法定労働時間を超えて働いた場合、オーバーした分に対して25%の割増賃金の支払いが必要です。たとえば月~金の合計労働時間が35時間で、その週の法定外休日に7時間働いた場合は、オーバーした2時間分の賃金が割り増しとなります。

休日出勤で割増賃金が発生しない4つのシチュエーション

チェックリスト

反対に、休日出勤で割増賃金が発生しないシチュエーションは、以下の4つです。

 

<休日出勤で割増賃金が発生しない4つのシチュエーション>

  1.  法定外休日に出勤した場合
  2.  事前に振替休日にしていた場合
  3.  管理監督者が出勤した場合
  4.  給与に残業代が含まれている場合

 

こちらも順番に詳細をチェックしていきましょう。

①法定外休日に出勤した場合

法定外休日は、原則として割増賃金の対象外です。先述したように所定労働時間をオーバーした場合は例外が認められますが、その他のシチュエーションでは割増賃金が発生しません。たとえば月~金の合計労働時間が35時間で、土曜日(法定外休日)に5時間勤務した場合、法定労働時間は週40時間以内かつ1日8時間以内に収まるため、割増賃金はゼロです。

②事前に振替休日にしていた場合

事前に振替休日として指定していた場合は、休日出勤した日が法定休日だとしても、割増賃金は発生しません。ただし、この場合も1週間もしくは1日あたりの所定労働時間をオーバーした場合に限り、25%の割増賃金を受け取れます。

③管理監督者が出勤した場合

役員をはじめとする労働基準法第41条により定められている「管理監督者」の出勤に関しては、割増賃金の対象外です。しかし「名ばかり管理職」の場合は一般の従業員と同じ扱いとなるため、解釈をめぐって会社側と従業員が争いを起こす可能性があります。

④給与に残業代が含まれている場合

給与に残業代を含んでいる場合は、所定の残業手当を超えない範囲の労働に対しては、休日出勤に関しても割増賃金が発生しません。たとえば10時間分の残業手当を月給に含めている場合、割増賃金が発生するのは、休日出勤による労働時間が10時間を超過した後のみです。

そもそも休日出勤に該当するケースとは

ケースのブロック

そもそも何をもって休日出勤とみなすのか、3つのケースを用いてご紹介します。

 

<休日出勤に該当する3つのケース>

  • 通常業務による出勤
  • やむを得ない持ち帰りの仕事
  • 参加義務を伴う懇親会など

 

順番に確認していきましょう。

通常業務による出勤

円滑に業務を遂行するために、通常業務を目的として出勤するケースです。緊急性を伴わない場合を除き、休日出勤としてみなされます。

やむを得ない持ち帰りの仕事

終業直前に、翌営業日を期日とする仕事を任された場合など、やむを得ず自宅に仕事を持ち帰った場合も、休日出勤の対象となります。

参加義務を伴う懇親会など

参加が義務付けられている懇親会や研修会に参加する場合も、休日出勤の対象です。参加の有無により人事査定等に明確な影響が出るケースにおいても、休日出勤とみなされる場合があります。

まとめ

休日出勤に伴う割増賃金の有無は、祝日の種類や従業員ごとの法定労働時間によって異なります。また、深夜の労働を伴う場合は、さらに25%の割増賃金を追加して計算しなければなりません。

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