休日出勤の拒否は違法?拒否できるケースや強制時の対処法を解説
現在勤務されている会社は、休日出勤を拒否すると処罰を受けるのか、また、休日出勤を社員に命じてもいい会社かご存じでしょうか。
休日出勤は、ある条件さえ満たしていれば違法性のない業務命令なので、社員は原則従う必要があります。しかし、休日出勤は正当な理由があれば拒否できますし、この場合、拒否をされても会社側は社員を処罰できません。
この記事では、休日出勤を拒否するとどうなるのか、わかりやすく確認していきましょう。
結論!休日出勤は原則拒否できない
結論からお話しすると、休日出勤は原則拒否できません。
なぜなら、「休日出勤あり」などと記載された雇用契約書や会社の就業規則があり、36協定を結んでいる企業の場合、休日出勤は業務命令にあたります。業務命令を拒否すると、民法第415条で記載されているとおり、拒否したことによって生じた障害の賠償を企業から請求される可能性があるため要注意です。
休日出勤が違法になるケースもある
先ほど、休日出勤は原則拒否できないと解説しましたが、以下の条件に当てはまる場合は企業側が違法行為をしているため、休日出勤を拒否しても問題ありません。
<休日出勤が違法になるケース>
- 書面で休日出勤が定められていない
- 雇用契約時に36(サブロク)協定を結んでいない
それぞれ解説していきましょう。
書面で休日出勤が定められていない
そもそも企業が社員に休日出勤を命ずるためには、契約時に交わす雇用契約書や就業規則に「休日出勤あり」という内容が明記されていなければなりません。
規約にない命令は労働基準法に違反するので、この場合は堂々と拒否をしましょう。
雇用契約時に36(サブロク)協定を結んでいない
「36(サブロク)協定」とは労働基準法第36条基づいて行われる手続きのことで、正式には「時間外・休日労働に関する協定届」といいます。
企業と労働者側で36協定を結んでいない場合、1日8時間、または1週間で40時間以上の時間外労働、および休日出勤を社員に命じる行為は違法です。
36協定は、労働組合または労働者の過半数を代表する人と企業が書面で協定を結び、労働基準監督署に届け出ることで結ばれます。36協定が結ばれている場合、社内に労働基準監督署の受付印が捺印された書面が保存されていますので、36協定が結ばれているかわからない場合は確認してみましょう。
休日出勤は正当な理由があれば拒否できる
休日出勤は、企業側が正当な手続きを踏んで命じている場合でも、以下の理由であれば正当な理由で拒否していると認められるため、断っても違法性はありません。
<休日出勤を拒否できる正当な理由>
- 通院
- 冠婚葬祭
- 育児や介護
- 有給を出している
- パワハラなど正当な理由のない出勤要請
ひとつずつ解説していきましょう。
通院
通院の予定がある人に休日出勤をさせてしまうと、病状が悪化したり必要な薬をもらえなかったりして、社員の健康に支障をきたす恐れがあります。
したがって、休日に通院の予約を入れている場合は、休日出勤の打診を受けた段階で、すぐに上司へ通院の予定を入れている旨を伝えましょう。
冠婚葬祭
休日に、結婚式や法事などの予定が入っている場合も、正当な理由で休日出勤を拒否できます。
冠婚葬祭は休日に行われることが大半なので、休日出勤のために日にちをずらすことは不可能です。そのため、結婚式や法事などの予定が入っている休日に出勤を求められた場合は、上司に説明をして理解を得ましょう。
育児や介護
休日に出勤すると子どもが家で1人になってしまう場合や、子どもの行事に参加できなくなる場合、休日は両親などの介護を行わなければならない場合なども、休日出勤を拒否できます。
「ほかに代わりの人はいないのか」と聞かれる場合もあるかもしれませんが、この場合はハッキリ「いない」と伝えることが大切です。あいまいな言い方をしてしまうと、押し切られる可能性があります。育児や介護で休日出勤を拒否することは違法にならないので、無理な場合は毅然とした態度をとりましょう。
有給を出している
あらかじめ有給を出している日にちに休日出勤を命じられた場合は、有給が優先されるので、拒否しても問題ありません。
そもそも、有給は会社が定めた特別休暇にあたるため、申請がとっている場合、会社側はあとから有給日に出勤を出すことはできません。
ただし、有給を出していない休日に出勤を命じられた場合は原則拒否できませんので、旅行などで確実に出勤できない休日がある場合は、早めに有給を申請しておきましょう。
パワハラなど正当な理由のない出勤要請
休日出勤は、企業側が正当な手続きを行っていればいつでも命じていいものではありません。通常の業務時間内で仕事が完了する場合、わざわざ休日に仕事を行う必要はないので、明らかに正当な理由もなく休日出勤を命じられた場合は、休日出勤をしなくてはならない理由を聞いてみましょう。
とはいえ、いくら正当な理由が見つからないとはいえ、上司に休日出勤を命じられたときに「なぜですか?」と言える人は少ないのではないでしょうか。この場合は社内の相談窓口や、外部の相談窓口などを頼り、対処してもらうことをおすすめします。
もし、休日出勤の命令が明らかにパワハラ行為だとわかるのであれば、日々の言動や休日出勤を断った際の返答など、証拠となる情報を集めておきましょう。
休日出勤を拒否することに対するQ&A
最後に、休日出勤を断る行為に対し、さまざまな疑問へ回答していきましょう。
Q.休日出勤を拒否したら処分を受ける?
A. 正当な理由がある場合は拒否をしても処分は受けません。
企業が労働者の代表や労働組合と36協定を結んでおり、雇用契約書や就業規則に休日出勤がある旨を記載している場合でも、正当な理由がある場合は休日出勤を拒否しても問題ありません。
ただし、正しい手続きを踏んで休日出勤を命じている企業の場合、原則、休日出勤には応じる必要があります。そのため、正当な理由だとしても、繰り返し休日出勤を拒否すると処分を受ける可能性がある点は注意をしましょう。
Q.休日出勤を強制されており、拒否できない場合はどうしたら良い?
A.正当な理由で拒否しているにも関わらず強制されている場合は、労働基準監督署に相談しましょう。
休日出勤を正当な理由で拒否しているにも関わらず強制してくる場合は、労働基準法に違反している可能性が回です。この場合、労働基準法が守られているのか、労働基準監督署に相談し、チェックしてもらうことをおすすめします。
労働基準監督署は、労働者の方なら誰でも無料で相談可能です。相談を行うと、会社への立ち入り調査が行われたり、改善命令が出されたりします。第三者が介入すると会社の現状も改善される可能性が高まりますので、酷い場合はぜひ相談をしてみましょう。
Q.休暇中に休日出勤を依頼された場合、拒否したら処罰される?
A.休暇中は休日出勤を命じる行為が違法なので、拒否しても処罰されることはありません。
休暇とは、社員が申請した休みを会社が許可した日のことです。わかりやすくいうと、有給が休暇にあたります。
休暇の許可を出した場合、会社は社員に出勤を命じることはできないので、万が一、出勤の連絡が入った場合は休暇をとっている旨を伝えましょう。そこで何か言われた場合は、会社の相談窓口や労働基準監督署などの外部機関へ相談してみることをおすすめします。
まとめ
36協定を結んでいるだけでなく、就業規則や雇用契約書に休日出勤がある旨を記載している企業にお勤めの場合、休日出勤を拒否することは原則できません。ただし、休日に冠婚葬祭の予定が入っている場合や、有給で休むことが前から確定している場合は、休日出勤を拒否できます。
しかし、正当な理由もなく休日出勤を拒否したり、何度も休日出勤を拒否したりすると処罰を受ける可能性がありますので、注意をしましょう。
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