2024年04月16日

代休と振休の違いを知らないと大損?!最適な振り替え方法を教えます

両手にハテナマークを持つ女性

代休と振休は、休日出勤をした代わりに、どこかの出勤日を休みにできる制度です。ただし、代休と振休には大きな違いが3つもあります。この違いを知らないと、人件費が大幅に増えたり労働基準法を違反してしまったりするので、違いがよくわからない方は、今回の記事で両者の違いを把握しておきましょう。

代休と振休は何が違う?

代休と振休(振替休日)は、どちらも「休日に仕事を行う代わりに、出勤日を休みにする」というものです。ただし、代休と振休には、以下の点で大きな違いがあります。

 

<代休と振休の違い>

  •  労働日と休日を入れ替えるタイミング
  •  休みを振り替える義務
  •  割増賃金の有無

 

どのような違いなのか、ひとつずつ確認していきましょう。

労働日と休日を入れ替えるタイミング

代休について書かれた書類の上のフィギュア

代休と振休は、労働日と休日を入れ替えるタイミングが、以下のように異なります。

 

  •  代休:休日出勤を行ったあとに、その補填として出勤日のどこかを休みにする
  •  振休:休日を事前に出勤日へ変更する代わりに、出勤日のどこかを休みに振り返る

 

この違いからわかるとおり、代休は緊急的に休日出勤を依頼したときの補填として利用される休みです。たとえば、「日曜日にシステムトラブルが起きたので、急遽出社を余儀なくされた」などの場合、後日代休として出勤日のどこかを休みに変更できます。

一方、振休は事前に休日が労働日に変更される代わりに、出勤日のどこかを休みに振り替えるものです。例を挙げると、「今月の第1日曜日はお客様感謝デーなので、翌日の月曜日は休みに変更される」などが振休にあたります。

休みを振り替える義務

振休として休日を出勤日にした場合、必ずどこかの出勤日を休日へ振り替える必要があります。しかし、代休として休日を出勤日にした場合は、出勤日を休日に振り替えなくても使用者が罰せられることはありません。

ただし、このあと「労働基準法に違反する可能性がある」でも解説しますが、使用者は労働者に対し、1週間に1回以上、または4週間に4回以上の休日を与えるよう、労働基準法で決められています。そのため、代休で休日を出勤日にした場合、休日日数の最低水準を守れない場合は、出勤日のどこかを休日に振り替える対応が必要です。

割増賃金の有無

代休は休日に仕事を依頼するため、法定休日(1週間に1回、または4週間に4回で設定されている最低水準の休日)に仕事を振り替えた場合は、休日出勤に該当します。休日出勤の場合、使用者は労働者に対して、通常賃金に35%を割り増した割増賃金を支払わなければなりません。

一方、振休は休日と勤務日を単に入れ替えただけなので、仕事を振り替えたもとの休日は休日出勤ではなく、通常の勤務日扱いです。

実際に、代休と振休でどれだけコストに差が生まれるかは、「振休より大幅にコストがかかる」で解説していますので、あわせてご覧ください。

代休の注意点

休日出勤手当についての書類

代休には、以下3つの注意点があります。

 

<代休の注意点>

  •  労働基準法に違反する可能性がある
  •  振休より大幅にコストがかかる
  •  代休は有休にできない

 

それぞれ解説していきましょう。

労働基準法に違反する可能性がある

緊急的に休日出勤を依頼した結果、法定休日が守れなくなる場合は、適法内で労働者が休日を取得できるよう、代休を設定しましょう。そうしなければ、使用者は労働基準法を違反してしまいます。

法定休日とは、労働基準法で定められている休日の最低水準です。取得すべき休日の最低日数は、1週間に1日以上、または4週間に4日以上とされています。

そのため、会社に所定休日(会社が法定休日にプラスで与えている休日)が1日もない場合、休日出勤を依頼してしまうと、必ず上記日程の範囲内で代休を設定しなくてはなりません。

【労働基準法に違反するケース】

法定休日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日
休日出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 出勤

上記の場合、所定休日がない状態で日曜日の法定休日を休日出勤にしたため、月~金のどこかで代休を入れなければ、使用者は労働基準法を違反しています。

【労働基準法に違反しないケース】

法定休日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 所定休日
休日出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 休日

ただし、上記の場合だと法定休日の日曜日に休日出勤を依頼しても、所定休日で1週間に1回の休みを確保できているため、代休を入れなくても法的に問題はありません。

ただし、休日が1日でも少なくなると労働者は健康管理が難しくなってしまうので、所定休日で最低水準の休日を確保できていたとしても、休日出勤を依頼した際は代休を入れたほうがいいでしょう。

振休より大幅にコストがかかる

「割増賃金の有無」でも解説したとおり、代休は休日出勤を依頼したのちに設定できる休みなので、勤務日には通常料金に35%を割り増した割増賃金を支払わなくてはなりません。一方、振休で休日を出勤日に変えた場合は割増賃金が発生しないため、代休で休日出勤を依頼すると、以下のように振休より大幅にコストがかかります。

 

(例)時給1,000円の人が8時間勤務した場合

  •  代休:(1,000円+1,000円×35%)×8時間=10,800円
  •  振休:1,000円×8時間=8,000円

 

この例を見ると、どちらも休日と勤務日を振り替えたことに違いはありませんが、代休のほうが2,200円も多くの賃金が発生しています。よって、人件費を節約したい場合は、なるべく振替休日で調整をしましょう。

代休は有休にできない

代休は休日扱いですが、有休は休日であっても労働日扱いです。このように、代休と有休はそもそものシステムが異なるため、使用者は労働者から「代休を有休に振り替えたい」と申請されても承認できません。

振休の注意点

POINTのブロック

振休にも3つの注意点があります。

 

<振休の注意点>

  •  同じ週に設定しないとコストがかかる
  •  振休の期限は2年
  •  振休は有給にできない

 

ひとつずつ解説していきましょう。

同じ週に設定しないとコストがかかる

振替休日は休みと勤務日を取り替える休みですが、労働基準法では労働できる時間を1日8時間、1週間で40時間までと決めています。そのため、振替休日は週をまたいで設定してしまうと以下のように1週間の労働時間が40時間を超えてしまい、使用者は超えた分の賃金を25%増の割増賃金で支払わなくてはなりません。

【週をまたいで振替休日を設定した場合】

休日出勤 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 所定休日
8時間 8時間 8時間 8時間 8時間 8時間 0時間
48時間(8時間オーバー)
法定休日 振替休日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 所定休日
0時間 0時間 8時間 8時間 8時間 8時間 0時間
32時間

上記の場合、日曜日の振り替えを翌週の月曜日に持ってきたため、1週目の合計勤務時間は48時間となり、8時間をオーバーしています。そのため、使用者は8時間分の賃金に対し、25%の割増賃金の支払いが必要です。

人件費をカットしたい場合は、振替休日を休日出勤と同じ週に設定し、割増賃金が発生しないようにしましょう。

【同じ週に振替休日を設定した場合】

休日出勤 振替休日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 所定休日
8時間 0時間 8時間 8時間 8時間 8時間 0時間
32時間
法定休日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 所定休日
0時間 8時間 8時間 8時間 8時間 8時間 0時間
40時間

振休の期限は2年

労働基準法第115条の規則をもとにすると、振休の期限は2年と考えられます。そのため、振休を入れる場合は、休日出勤から2年以内に設定しましょう。

ただし、先に解説したとおり振休は週をまたいで設定すると割増賃金が発生するので、休日出勤の直後に設定するのが最適です。

振休は有休にできない

振休は代休と同じように休日扱いですが、有休は休日でも労働日扱いです。そのため、「代休は有休にできない」で解説したとおり、振休も有休にできませんので、使用者は把握しておきましょう。

まとめ

代休と振休は、どちらも出勤日に仕事をした代わりに出勤日を休みにできるシステムです。ただし、休みと勤務日を振り替えるタイミングや休みを振り替える義務、割増賃金の有無の3点が異なるため、使用者はその違いを把握しておきましょう。

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