2024年04月09日

失業手当とは?受け取る条件や給付金額、対象となる期間などを解説

失業手当のブロック

雇用保険に加入している人が自己都合もしくは会社都合で退職すると「失業手当」を受け取れます。しかし、失業手当の金額はさまざまな条件により変動するほか、給付日数もケースバイケースのため注意が必要です。

この記事では、失業手当の受給条件や状況別の給付日数・計算方法などをご紹介します。

失業手当とは

失業手当とは、会社で働いていた人がなんらかの事情により職を失った場合に、受給条件を満たす人が受け取れる給付金の一種です。雇用保険に加入している人が自己都合または会社都合で失業した場合、あるいは出産・育児や介護などを理由に退職した場合に、給付金を受け取れます。

はじめに、どのような人が雇用保険に加入できるのかを整理しておきましょう。

 

<雇用保険への3つの加入条件>

  • 31日間以上継続的に雇用されること
  • 所定労働時間が1週間あたり20時間以上であること
  • 学生ではないこと(定時制・通信制を除く)

 

上記の条件を満たす従業員が雇用保険に加入し、所定の保険料を12ヶ月分以上納付した場合に、失業手当を受け取れます。

失業手当の受給条件は離職時の状況により異なる

失業手当申告書

前提として、以下2つの条件を満たす場合のみ、失業保険を受給できます。

 

<失業手当を受給するための2つの条件>

  • 雇用保険に12ヶ月以上加入していること
  • ハローワークで求職活動を行っていること

 

失業手当は、引き続き労働する意欲をもちながらも再就職先が見つからず、失業状態にある人しか受給できません。失業を機に休養を取る場合や、病気やケガなどの事情により一定期間の労働が困難な場合は、失業手当を受給する条件を満たせないため注意しましょう。

また、一言で失業といっても、その理由は人によってさまざまです。離職時の状況によって以下の3パターンのうちいずれかに分類され、それぞれ受給条件が異なります。

 

<分類される3つのパターン>

  • 「一般の離職者」となる条件
  • 「特定理由離職者」となる条件
  • 「特定受給資格者」となる条件

 

それぞれの条件を詳しく見てみましょう。

「一般の離職者」となる条件

「より条件のよい会社に転職する場合」や「労働環境が合わずに自分から退職を申し出た場合」など、いわゆる自己都合退職をした場合は「一般の離職者」に分類されます。その他の退職理由と比較すると、失業手当の条件が悪くなるため注意が必要です。

「特定理由離職者」となる条件

契約期間満了に伴い退職する場合、もしくは以下の条件に合致する場合は「特定理由離職者」とみなされます。

 

<特定理由離職者となる主な条件>

  • 心身の事情により離職した場合
  • 出産や育児、介護を理由に離職した場合
  • リストラにより離職した場合
  • 通勤が困難になり離職した場合
  • 雇用期間3年未満かつ本人の意思に反して契約が更新されない場合

 

特定理由離職者の場合、先述した一般の離職者と比較して、有利な条件で失業手当の受給が可能です。

「特定受給資格者」となる条件

「会社の倒産により失業した場合」や「解雇された場合」、「ハラスメントにより離職せざるを得なくなった場合」などは会社都合退職にあたり、「特定受給資格者」とみなされます。また、本人が継続して勤務を続けたいとの意思を見せている反面、会社側が契約更新に応じない場合も、こちらに該当します。

失業保険の給付日数

公園で考える女性

この条件については、一般の離職者か、それ以外の離職者かによって異なります。

 

<失業保険の給付日数>

  • 一般の離職者の場合
  • 特定受給資格者あるいは特定理由離職者の場合

 

それぞれの給付日数を確認しておきましょう。

一般の離職者の場合

一般の離職者に該当する人の場合は、離職時の年齢とは無関係に、被保険者期間の長さによって給付日数が決まります。

【一般の離職者への失業手当給付日数】

被保険者期間 10年未満 20年未満 20年以上
65歳未満 90 120 150

※単位はすべて日数

特定受給資格者あるいは特定理由離職者の場合

自己都合退職以外に該当する人の場合は、離職時の年齢と、被保険者期間の長さによって、失業手当の給付日数が異なります。

【その他の離職者への失業手当給付日数】

被保険者期間 1年未満 5年未満 10年未満 20年未満 20年以上
30歳未満 90 90 120 180 なし
35歳未満 90 120 180 210 240
45歳未満 90 150 180 240 270
60歳未満 90 180 240 270 330
65歳未満 90 150 180 210 240

※単位はすべて日数

失業手当の受給期間は、離職日の翌日を起算日として1年間です。手続きが遅れた場合、給付日数が残っているにも関わらず、失業手当を全額受け取れない可能性があります。受給資格を満たした場合は、時間に余裕をもって手続きを行いましょう。

失業手当の給付金額の計算方法

給付金 フィギュア

失業手当の総額は、基本手当日額×給付日数で決まります。

 

<基本手当日額の計算方法>

  • 賃金日額×給付率

 

賃金日額には下限額・上限額があり、給付率は賃金日額に応じて変動します。

 

<失業手当の計算方法>

  • 賃金日額と基本手当日額の上限額・下限額
  • 年齢別に見た基本手当日額の目安

 

上記の条件から見た失業保険の金額を、一覧表にまとめてご紹介しましょう。

賃金日額と基本手当日額の上限額・下限額

賃金日額と基本手当日額の上限額・下限額はそれぞれ次のとおりです。

【賃金日額・基本手当日額の上限額・下限額】

離職時の年齢 30歳未満 45歳未満 60歳未満 65歳未満
賃金日額の上限額 13,890円 15,430円 16,980円 16,210円
賃金日額の下限額 2,746円 2,746円 2,746円 2,746円
基本手当日額の上限額 6,945円 7,715円 8,490円 7,294円
基本手当日額の下限額 2,196円 2,196円 2,196円 2,196円

年齢別に見た基本手当日額の目安

年齢別に見た給付率等の条件は、次の表のとおりです。

【条件別の給付率・賃金日額・基本手当日額の一覧表】

離職時の年齢 賃金日数 給付率 基本手当日額
30歳未満 2,746円~5,110円 80% 2,196円~4,087円
5,110円~12,580円 50%~80% 4,088円~6,290円
12,580円~13,890円 50% 6,290円~6,945円
13,890円~ 6,945円
45歳未満 2,746円~5,110円 80% 2,196円~4,087円
5,110円~12,580円 50%~80% 4,088円~6,290円
12,580円~15,430円 50% 6,290円~7,715円
15,430円~ 7,715円
60歳未満 2,746円~5,110円 80% 2,196円~4,087円
5,110円~12,580円 50%~80% 4,088円~6,290円
12,580円~16,980円 50% 6,290円~8,490円
16,980円~ 8,490円
65歳未満 2,746円~5,110円 80% 2,196円~4,087円
5,110円~11,300円 45%~80% 4,088円~5,085円
11,300円~16,210円 45% 5,085円~7,294円
16,210円~ 7,294円

まとめ

自己都合もしくは会社都合で退職し、一定の条件を満たす人は、失業手当を受給できます。計算方法は離職時の年齢と給付率により異なるため、条件に合致する場合は、この記事でご紹介している一覧表を確認して受け取れる金額を計算してみましょう。

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