特別休暇とは?主な種類や給料発生の有無、導入するメリットなどを解説
福利厚生のひとつとして注目度を高めている制度のひとつが「特別休暇」です。これは労働基準法によって定められた法定休暇ではないため、特別休暇を取得した従業員に給料を支払うべきかどうか悩んでいる経営者の方・担当者の方は多いかもしれません。
この記事では、特別休暇の概要や給料発生の有無、導入するメリット・デメリットなどを解説します。主な特別休暇の種類や、有給休暇との違いなどについても確認しておきましょう。
特別休暇とは
特別休暇とは、会社が独自に定めた休暇制度のことです。労働基準法により定められた法定休暇とは異なるため、法律上のルールは適用されません。休暇の種類や取得できる休暇の日数などは、すべて会社の就業規定により自由に決められます。
なお、厚生労働省が実施した「就労条件総合調査」によると、令和4年時点で特別休暇を導入している企業の割合は58.9%です。過半数を上回る企業が、なんらかの形で特別休暇を導入していることになります。
特別休暇中の給料は会社が自由に決められる
特別休暇の内容は会社が自由に決められます。給料の有無についても同様で、出勤時と同じように給料を支払っても構いませんし、給料を一切支払わずに無給としても構いません。後述するように特別休暇にはさまざまな種類があるため、特別休暇の内容に応じて給料の有無を決めても大丈夫です。
特別休暇と有給休暇はどのように違うか
特別休暇は会社が自由に決められる休暇ですが、有給休暇は法律により付与が義務付けられている「法定休暇」です。法定休暇には、有給休暇のほかに「育児休暇」や「介護休暇」などがあり、所定の条件を満たした職員が休暇を要請した場合は、会社側は原則としてそれを認めなければなりません。
主な特別休暇の種類
特別休暇は会社の方針により自由に決められます。そのため会社によって導入している特別休暇の内容はさまざまですが、代表的な特別休暇は以下の6種類です。
<主な特別休暇の種類>
- 夏季休暇・冬期休暇
- 病気休暇
- 慶弔休暇
- リフレッシュ休暇
- ボランティア休暇
- 裁判員休暇
それぞれの内容を簡潔に確認していきましょう。
夏季休暇・冬期休暇
夏季休暇・冬期休暇は、お盆や年末年始などに合わせて付与する、季節特有の特別休暇です。カレンダーどおりに所定労働日数を決めると、従業員が連休を希望する時期にまとまった休暇を付与できません。そこで夏季休暇・冬期休暇等を特別休暇として導入することにより、ニーズの高い時期に休暇を付与できます。
病気休暇
病気休暇は、通院や治療を目的に休暇をとる際に取得できる特別休暇です。身体的な療養が必要な場合のみならず、精神疾患を患い、中長期的な休暇が必要になった場合にも付与されます。日数は企業によって異なりますが、疾患の内容や治療期間に応じて柔軟に決められるケースが一般的です。
慶弔休暇
慶弔休暇は、従業員自身や家族・親族に慶事・弔事が生じた場合に取得できる特別休暇です。一例としては結婚式や葬儀などが該当します。式典に出席する時間を確保するだけではなく、慰労の意味も込めて付与されることが多いようです。
リフレッシュ休暇
リフレッシュ休暇は、従業員が抱えている心身の疲労回復を目的に、休暇をとる際に取得できる特別休暇です。長期間にわたり同じ会社に在籍して同一業務を続けている場合、燃え尽き症候群に陥る従業員もいます。リフレッシュ休暇を与えることにより、このような問題から脱却するきっかけをつかめるかもしれません。
ボランティア休暇
ボランティア休暇は、ボランティア活動を行うために取得できる特別休暇です。社会貢献活動や災害支援復興活動などを通して、会社への帰属意識を高めたり、関連する項目のスキルアップを図ったりする効果を見込めます。会社にとっては、企業イメージの向上につながりやすい点がメリットです。
裁判員休暇
裁判員休暇は、裁判員裁判への出席で休暇が必要になった場合に取得できる特別休暇です。裁判員としての活動は平日の日中に行われるため、会社員としての業務と並行するのは困難といわざるを得ません。特別休暇を導入することにより、従業員が安心して裁判員としての責任をはたしやすくなります。
特別休暇を導入するメリット・デメリット
特別休暇を導入することにより、社内外の人からより魅力的な企業としてみなされやすくなります。一方で特別休暇にはいくつかのデメリットもあるため、利点とあわせて確認しておかなければなりません。
【特別休暇を導入するメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
---|---|
・従業員のモチベーションを維持しやすい ・企業イメージの向上につながりやすい |
・人手不足に陥る恐れがある ・取得率が低いと効果を得られない |
項目ごとに詳しく解説します。
メリット①従業員のモチベーションを維持しやすい
特別休暇を導入すると、従業員にとっての休暇が事実上増加します。ワークライフバランスをとりやすくなるため、従業員のモチベーションを維持・向上しやすい点が、特別休暇を導入する最大のメリットです。休暇を使ってリフレッシュした状態で職場に復帰してもらうことにより、生産性向上にも期待できます。
メリット②企業イメージの向上につながりやすい
特別休暇を導入している会社は世間からのイメージがよく、先進的で従業員想いの企業といったいいイメージを与えられます。既存従業員の離職率に歯止めをかけやすいことはもちろん、新卒採用などにおいても有利に働きやすく、優秀な人材の確保につながる可能性もあるでしょう。
デメリット①人手不足に陥る恐れがある
夏季休暇や年末年始などに特別休暇を与えると、多くの従業員が職場を離れることになり、人手不足に陥る可能性があります。その他の特別な事情による休暇だとしても、繁忙期などに重なると会社がダメージを負う可能性もあり、一度に取得できる日数に制限を設けるなどの対策が必要です。
デメリット②取得率が低いと効果を得られない
特別休暇制度を設けたとしても、取得率が低ければ意味がありません。とくに有給取得率が低い会社の場合、特別休暇も利用されない可能性が高いでしょう。意味のある特別休暇を付与するためには、制度に関する周知を徹底することに加えて、働き方に関する意識改革にも乗り出す必要があります。
まとめ
特別休暇とは、その名のとおり特別な事情が発生した場合などに付与する休暇のです。労働基準法によって定められた法定休暇とは異なるため、取得できる日数や特別休暇の種類などは会社側が自由に決められます。
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