2024年03月27日

タイムカードの押し忘れが発生したらどうする?法律に沿った適切な対処法を解説

タイムカード

従業員の労働時間を把握するシステムとして、多くの企業がタイムカードを導入しています。しかしタイムカードを押し忘れる従業員が多く、勤怠管理が難しくなり、頭を抱えている経営者や担当者の方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、タイムカードの押し忘れが発生した際の、法律に沿った適切な対処法を解説します。タイムカードの押し忘れによる企業側のリスクや、やってはいけない対処法もあわせて確認しましょう。

タイムカードの押し忘れにより企業側が負うリスク

従業員がタイムカードを押し忘れると、企業は以下のようなリスクを負ってしまいます。

 

<タイムカードの押し忘れにより企業側が負うリスク>

  • 正確な労働時間を把握できなくなる
  • 人事・労務の負担が増す
  • 残業代の未払いが発生する可能性がある

 

まずは勤怠管理の重要性を確認しておきましょう。

正確な労働時間を把握できなくなる

タイムカードの押し忘れが常態化すると、従業員の不正に気付くことが困難です。タイムカードをきちんと機能させると、万一にも不正打刻が生じた場合に事実を証明でき、懲戒解雇などの処分を科せられます。

人事・労務の負担が増す

タイムカードの押し忘れにより修正作業が必要になった場合、入館証や監視カメラの確認を行うため、人事や労務の負担が増すこともデメリットです。担当部署の生産性低下に伴い、企業側に経済的損失のしわ寄せが行ってしまいます。

残業代の未払いが発生する可能性がある

従業員がタイムカードを押し忘れて帰宅した場合、残業時間も正確に把握できません。これが原因で残業代の未払いが発生する恐れがあり、最悪の場合は裁判に発展します。これにより、付加金・遅延損害金を上乗せした残業代の支払いを命じられる場合がある点も、企業側のリスクです。

タイムカードの押し忘れが発生した際の正しい対処法

タイムカードをもって考える女性

タイムカードの押し忘れが発生した場合は、以下の手順で対処しましょう。

 

<タイムカードの押し忘れが発生した際の正しい対処法>

  • タイムカードを押し忘れた本人に直接確認する
  • 従業員がタイムカードの押し忘れを自覚している場合は上長に報告する
  • タイムカードを手書きで修正する

 

順番に詳しく解説します。

タイムカードを押し忘れた本人に直接確認する

タイムカードの押し忘れが発覚した場合は、まず当該従業員に勤務状況を直接確認してください。勤務時間の管理や給与計算のためには、勤務状況の把握が必須です。この際、タイムカードを押し忘れた理由もあわせて確認すると、企業側の対処法や解決策が見つかりやすくなります。

従業員がタイムカードの押し忘れを自覚している場合は上長に報告する

従業員がタイムカードの押し忘れに気付いた場合は、すぐに上長へ報告するよう周知しましょう。チェック体制を整えることにより、不正打刻などのトラブルを抑制する効果を得られます。

タイムカードを手書きで修正する

手書きによるタイムカードの修正は、以下の条件を満たしていれば違法にはあたりません。

 

<タイムカードの手書き修正が認められる条件>

  • 従業員に十分な説明を行っていること
  • 実態調査が完了していること

 

上司など周囲の従業員から勤務実態を調査したうえで、タイムカードを手書きで修正させてください。

タイムカードの押し忘れを予防する4つの対策

CHECK

タイムカードの押し忘れを予防する対策としては、以下の4つが効果的です。

 

<タイムカードの押し忘れを予防する4つの対策>

  1. 一定の範囲内でペナルティを課す
  2. 従業員が簡単に利用できる勤怠管理システムを導入する
  3. わかりやすい場所にタイムレコーダーを設置する
  4. 従業員の目に入りやすい場所に張り紙を掲示する

 

上記の4点を順番に解説します。

①一定の範囲内でペナルティを課す

タイムカードの押し忘れに対して、一定の範囲内でペナルティを課すことにより、従業員の意識を改革できる可能性が高いです。具体的には「罰金」や「始末書の提出」などがペナルティの内容ですが、罰金は以下の範囲内にとどめなければなりません。

 

<罰金処分をとる際の法的なルール>

  • 1回の金額が平均賃金の半額以下であること
  • 罰金の総額が月給の1/10以下であること

 

仮に平均賃金が10,000円の場合、1回あたり5,000円を超える罰金を請求することはできません。また、当該社員の月給が200,000円の場合、罰金の総額は1ヶ月あたり20,000円以下に抑える必要があります。

②従業員が簡単に利用できる勤怠管理システムを導入する

勤怠管理システムの操作が難しいせいで、タイムカードを押し忘れる例もあります。タイムカードの押し忘れが頻繁に発生する場合は、従業員にヒアリングやアンケート調査を実施しましょう。現在の勤怠管理システムに不便な点がある場合は、すべての従業員が簡単に利用できるシステムへの刷新をおすすめします。

③わかりやすい場所にタイムレコーダーを設置する

従業員から見て、必ず目に入る場所にタイムレコーダーを設置すると、うっかりタイムカードを押し忘れてしまう確率を引き下げられます。通路や出入り口などの正面にタイムレコーダーを設置したり、タイムレコーダーにポップを設置したりして目立たせると、ケアレスミスを予防できるため効果的です。

④従業員の目に入りやすい場所に張り紙を掲示する

従業員の目に入りやすい場所に、ポスターなどの張り紙を掲示する方法も有効です。以下のように、従業員が出退勤時に利用する頻度が高い場所に、タイムカードの押し忘れがないかどうかを確認する張り紙を設置しましょう。

 

<張り紙の設置が効果的な場所>

  • トイレ
  • 更衣室
  • 休憩場 など

 

継続的に注意喚起を行うと、刷り込みによる効果にも期待できますし、押し忘れが発生した場合も従業員がすぐに気付いて修正できます。

タイムカードの押し忘れが発生した際にやってはいけないこと

NGの吹き出し

タイムカードの押し忘れが発生した際、企業側は以下の2点をやってはいけません。

 

<タイムカードの押し忘れが発生した際にやってはいけないこと>

  • 欠勤扱いにすると違法になる
  • 本人以外の修正はトラブルのリスクがあるためNG

 

それぞれの理由を簡潔にご紹介します。

欠勤扱いにすると違法になる

タイムカードの押し忘れを理由に欠勤扱いにすることは、労働基準法や労働契約法に違反するため要注意です。先述したように一定の範囲内で罰金をとることは認められていますが、給料の支払いを拒否することはできません。

本人以外の修正はトラブルのリスクがあるためNG

タイムカードは従業員本人が記録する必要があります。上司や担当部署などの第三者が勝手にタイムカードを修正するのはNGです。残業代などの支払いを巡ってトラブルになる恐れもあるため、タイムカードを本人以外が扱うことは避けてください。

まとめ

タイムカードの押し忘れが発生すると、従業員の正確な退勤管理ができなくなるほか、担当部署の負担が増してしまいます。タイムカードの押し忘れが頻発している場合は、退勤管理システムの刷新も含めた、抜本的な改革を検討しましょう。

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