2024年03月19日

タイムカードの保管期間は何年?起算日・対象者・違反した場合の罰則などを解説

タイムカード社員証

タイムカードには労働基準法により保管期間が定められており、2020年4月の労働基準法改正により保管期間も変更されました。これに違反すると罰金が科される恐れがあるほか、トラブル発生時のリスクにもつながるため要注意です。

この記事では、タイムカードの保管期間や起算日の計算方法、タイムカードの保管が必要となる対象者、そして保管期間を守らなかった場合の罰則やリスクを解説します。タイムカードの最適な管理方法も含めて確認しておきましょう。

タイムカードの保管期間は起算日から5年間

パソコンで作業する女性

結論からいうと、タイムカードの保管期間は起算日から数えて5年間です。タイムカードは、賃金台帳などと並び「労働関係に関する重大な記録」に該当します。賃金台帳の保管期間は5年間に定められているため、タイムカードの保管期間も5年間となります。

なお、保管期間の起算日は以下のとおりです。

【雇用形態ごとの起算日】

直接雇用の場合 最後の記録をした日を起算日とする
派遣社員の場合 契約を解消した日を起算日とする

雇用形態により起算日が異なるため、注意しましょう。

2023年現在は経過措置として起算日から3年間でもよい

タイムカードの保管期間が5年間と決まったのは2020年4月であり、それ以前の保管期間は3年間でした。現在は3年間から5年間の保管期間へ移行している最中であり、2023年時点は経過措置を適用でき、保管期間を3年間に短縮したとしても法的な問題はありません。

賃金台帳が源泉徴収簿を兼ねる場合の保管期間は7年間

例外として、賃金台帳が源泉徴収簿を兼ねる場合は、保管期間が7年間に延長されます。先述したとおり、タイムカードは賃金台帳等と同等の扱いを受けるため、この場合はタイムカードも最低7年間の保管が必要です。

タイムカードの保管が必要となる対象者

タイムカードの保管が必要となる従業員の種類は、以下のとおりです。

 

<タイムカードの保管が必要となる対象者>

  • 正社員
  • 派遣社員
  • アルバイト・パートタイマー
  • 退職者

 

正規雇用の従業員はもちろん、非正規雇用の従業員に関してもタイムカードの保管が必要です。退職者に関しても、原則として起算日から5年間はタイムカードを保管する義務が生じるため注意しましょう。一方、以下の対象者に関しては、原則としてタイムカードの保管が不要です。

 

<タイムカードの保管が不要な対象者>

  • 管理職
  • みなし労働時間制の従業員

 

労働基準法では、労働時間の管理が必要な従業員について「管理監督者に該当するみなし労働時間制適用者以外」と定めています。そのため、管理職に就く従業員や、「高度プロフェッショナル制度」等を適用している従業員のタイムカードを保管する義務はありません。

タイムカードの保管期間を守らなかった場合の罰則とリスク

タイムカード

タイムカードの保管期間を守らなかった場合のリスクは、次のとおりです。

 

<タイムカードの保管期間を守らなかった場合の罰則とリスク>

  • 保存義務を怠ると30万円以下の罰金が科される場合がある
  • 裁判で正当性を主張できない可能性がある
  • 社会的信頼を失墜させるリスクもある

 

それぞれを詳しく解説します。それぞれのリスクに備えて、保管期間は必ず守りましょう。

保存義務を怠ると30万円以下の罰金が科される場合がある

タイムカードの保存義務を怠ると、30万円以下の罰金が科される場合があります。労働基準法第109条において「タイムカードを5年間保存しなければならない」と定められており、同120条では「これに違反する場合は30万円以下の罰金に処する」と明記されているためです。

タイムカードを意図的に処分した場合はもちろん、タイムカードを誤って紛失・廃棄した場合も罰則が適用されます。5年または7年の保管期間が経過するまでは、会社側が責任を持ってタイムカードを保管する義務を負うのです。

裁判で正当性を主張できない可能性がある

残業代の未払いなどが理由で従業員から訴訟を起こされた場合に、タイムカードを保管していれば反証できます。しかしタイムカードを破棄していた場合、会社側から残業代の未払いを行っていない事実を証明できず、反対に「証拠隠滅をしている」とみなされる可能性もあるため危険です。

厚生労働省が公表した令和3年度の「監督指導による賃金不払残業の是正結果」によると、裁判等により支払われた是正支払額は約65億円、是正企業数は1,069企業でした。多くの企業が多額の請求を受けている以上、軽視できない問題です。

社会的信頼を失墜させるリスクもある

タイムカードの保管期間を守らなかった場合は、労働基準監督署から是正勧告を受ける可能性が高いです。この際に悪質性が高いと判断された場合、労働基準監督署から社名が公表される可能性があり、社会的信頼を失うリスクもあります。

また、タイムカードの扱い方そのものに問題がある場合は、従業員によって内部事情がリークされる可能性もあります。これが原因でブランドイメージの低下や業績の悪化を招く恐れもあるため、タイムカードは適切に取り扱い、保管しなければなりません。

タイムカードの保管期間を遵守するためにはデータ上の管理がおすすめ

パソコンで作業する手元

タイムカードの保管期間を遵守し、さまざまなリスクに備えるためには、紙を保管するのではなくデータ上で管理することをおすすめします。

 

<タイムカードをデータ上で管理するメリット>

  • 保管場所を必要としない
  • 盗難や紛失のリスクを避けられる
  • 情報にアクセスしやすくなる

 

上記の3つのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

データ上で管理するメリット①保管場所を必要としない

5年~7年分ものタイムカードは膨大な量となるため、紙で保管する場合は広い保管場所が必要です。しかしデータ上でタイムカードを保管すれば、保管場所を必要とせず、事実上無制限で従業員全員分のタイムカードを保管できます。

データ上で管理するメリット②盗難や紛失のリスクを避けられる

タイムカードを紙で保管している場合、盗難や紛失などのトラブルにより、貴重な情報をすべて失う可能性があります。火災によりタイムカードを焼失する可能性もゼロとはいえません。

タイムカードをデータ上で管理すると、そのようなリスクがなくなります。バックアップデータも含めて安全に保管でき、改ざんなどの被害を受ける可能性も限りなくゼロに近付けられるのです。また、紙のように劣化しないこともデータのメリットといえます。

データ上で管理するメリット③情報にアクセスしやすくなる

データ上でタイムカードを保管すると、情報にアクセスしやすくなります。なんらかの理由で労働基準監督署からタイムカードの提出を求められた際も、タイムカードをデータで管理していれば指定された期間のデータを素早く抽出できるため、担当部署の負担を軽減することが可能です。

まとめ

タイムカードの保管期間は、2020年の法改正により、5年もしくは7年に改められました。保管期間を遵守しなかった場合、罰金を科せられる可能性があるほか、裁判で反証できないリスクや、社会的信頼を失うリスクを負うため要注意です。

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