2024年03月04日

連勤は何日まで許される?労働基準法の記載ルールをわかりやすく解説

労働基準法と書かれた紙とペン

7日連勤や12日連勤と聞くと、一見、労働基準法に反していると思われがちですが、連勤は法律上、最大24日まで許されています。ただし、過度な連勤は社員に大きな負担を与えるため、連勤を設定する場合は、1日や1週間あたりの労働時間を守りましょう。

今回は、労働基準法の記載ルールをもとに、連勤が何日まで許されるのかわかりやすく解説していきます。

連勤は何日まで許されている?

カレンダー

連勤の日数は、企業が定める働き方によって、以下のように最大日数が決められています。

 

  •  週休制の企業:1ヶ月に12連勤まで
  •  変形労働時間制の企業:1ヶ月に24連勤まで

 

この日数をご覧になった方の多くは、「こんなに連続で働かせても問題ないの?」と驚いたと思いますが、連勤日数は労働基準法によって定められているので、上記の日数内であれば違法ではありません。

ただし、過度な連勤は社員のモチベーション低下や事故などのトラブルを生みやすいです。そのため、ここで解説する連勤日数はあくまでも法律上の話であり、実際は社員の勤務実態を把握しながら連勤日数を決めることが大切だということを把握しておきましょう。

週休制の企業なら1ヶ月に12連勤が最大

週休制を採用している企業の場合、1ヶ月間に許されている連勤の日数は、最大12日間となっています。

労働基準法では「1週間に最低1回の休日を設けること」という決まりがあるので、以下のように休日を設定すると、週休制では最大12連勤が可能です。

1 2 3 4 5 6 7
休日 出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 出勤
8 9 10 11 12 13 14
出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 休日
15 16 17 18 19 20 21
休日 出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 出勤
22 23 24 25 26 27 28
出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 休日
29 30          
出勤 出勤          

 

変形労働時間制の企業なら1ヶ月に24連勤が最大

繁忙期と閑散期で労働時間が変則的な企業は、変形労働時間制を採用しています。この場合、労働基準法によると、「4週間に4日間休日」を設けることで最大24連勤が可能です。

1 2 3 4 5 6 7
出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 出勤
8 9 10 11 12 13 14
出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 出勤
15 16 17 18 19 20 21
出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 出勤 出勤
22 23 24 25 26 27 28
出勤 出勤 出勤 休日 休日 休日 休日
29 30          
出勤 出勤          

 

注意!パートやアルバイトの連勤日数

パートやアルバイトには1日3時間や4時間といった短時間労働もありますが、1日の労働時間がどんなに短いパートやアルバイトも、連勤できる最大日数は正社員と同じです。

週休制であれば1週間に1回の休日設定で最大12連勤、変形労働時間制であれば4週間に4日の休日設定で最大24連勤が許されています。

ただし、パートやアルバイトは個人間でシフトを交代したり、自分でシフトを組んだりして労働基準法の定める連勤日数を超えて働く場合もあるため、要注意です。

万が一、労働基準法が定める連勤日数以上で働かせてしまうと、管理者に対し、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が処されてしまいます。そのため、パートやアルバイトを雇っている場合は、社員同様、勤怠管理を徹底しましょう。

連勤は何日まで働くか以外にもルールがある

オフィスで考える男性

連勤には、何日まで働いてよいかだけでなく、以下のルールもあります。

 

  •  最大労働時間を超えると割増賃金が発生する
  •  連勤中の有給は出勤扱いになる

 

ひとつずつ解説していきましょう。

最大労働時間を超えると割増賃金が発生する

週休制の場合、労働時間は1日8時間かつ1週間で40時間以内、変形労働時間制の場合は、変形労働時間の頻度によって、以下のように労働時間が労働基準法で定められています。

 

【変形労働時間の頻度による労働時間】

頻度 1日の上限 1週間の平均時間
1ヶ月単位 なし 40時間※
1週間単位 10時間 40時間
1年単位 10時間 40時間
フレックスタイム制 なし 40時間

※商業・映画・演劇業(映画制作事業を除く)・保健衛生業・接客娯楽業のうち、常時労働者が10人未満の事業者は44時間まで

 

この最大労働時間を超えて勤務させた場合、超過分は通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。

 

  • (例)時給1,000円のアルバイトに時間外労働を依頼した場合の時給:1,250円以上

 

ただし、時間外労働の勤務時間が22時~翌5時までにあたる場合は、深夜業に対する割増賃金も追加されます。深夜業に対する割増賃金も通常の2割5分以上ですから、深夜に時間外労働を依頼した場合、合計5割以上の割増賃金が発生することを把握しておきましょう。

 

  • (例)時給1,000円のアルバイトに深夜の時間外労働を依頼した場合の時給:1,500円以上

 

連勤中の有給は出勤扱いになる

有給は休日ではなく出勤扱いとなるため、社員が連勤中に取得した場合でも、出勤日数としてカウントしなくてはなりません。

週休制の場合は1週間に最低1日、変形労働時間制の場合は4週間に最低4日の休日を設けることが労働基準法で定められています。最大日数で連勤を組んでいる場合、途中で有給が申請されたからといって、もともと定めていた休日を減らしてしまうと違法になるので、注意をしましょう。

連勤によるトラブルを防ぐための工夫

パソコンを見ながら話をする女性2人

今回解説したとおり、週休制の企業は最大12日間、変形労働時間制の企業は最大24日間の連勤が法的に認められています。

ただし、ここまでの長期連勤を強いてしまうと、労働者は体調不良やモチベーションの低下、勤務中の事故などのトラブルを引き起こしやすいです。労災が認められるほど重大なトラブルが起きた場合、労働者へ多額の慰謝料や損害賠償を支払う可能性も出てきます。

そのため、管理者は連勤によるトラブルを防ぐためにも、日ごろから以下の工夫を行いましょう。

 

<連勤によるトラブルを防ぐための工夫>

  •  社員の勤務実態を把握する
  •  人員不足を解消する
  •  勤務間インターバル制度を活用する

 

社員の勤務実態を把握する

まず、管理者は社員の勤務実態を把握することが大切です。勤務時間をリアルタイムで把握できるシステムを採用したり、シフトを交換したい場合は事後ではなく事前に管理者へ申告する義務付けをしたりして、過度に働く社員が出ないようにしましょう。

人員不足を解消する

社員の連勤日数が多い企業は人員不足が起きているので、早急に解決する必要があります。

連勤は、人件費カットにつながると考える方も多いです。しかし、過度な連勤を強いられた社員は疲れがたまり、効率よく仕事をこなすことができなくなる懸念があります。そのため、結果的に割増賃金の支払いでコストが増し、余計に人件費がかかってしまいます。

さらに、過度な連勤は納期遅れを起こしたり、仕事の質も低下しやすかったりするので、会社の評判も落としかねません。

このことから、社員の連勤日数が多い場合は新たに人員を確保し、ひとりあたりの負担が減るよう調整する必要があります。ひとりあたりの負担が減ると、過度な連勤を強いなくても効率よく仕事が完了するため、社員も会社も守ることが可能です。

勤務間インターバル制度を活用する

過度な連勤が続いている場合は、勤務間インターバル制度の導入も検討してみましょう。勤務間インターバル制度とは厚生労働省が推奨している制度で、就業時間から次の始業開始時間までに、9時間~11時間の休憩時間を定着させるものです。

勤務間インターバル制度があれば、時間外労働によって退勤時間が遅くなっても確実に休憩時間を確保できるため、連勤が続いている社員も疲れを取りやすくなります。

勤務間インターバル制度を導入した場合、目標を達成すると目標達成に要した経費に対し助成金を受けることも可能なので、現状を打破したい場合は、申請をおすすめします。

まとめ

連勤は、週休制だと最大12日まで、変形労働時間だと最大24日までが労働基準法で認められています。ただし、連勤を設定する場合は1日や週あたりの労働時間、および社員の労働環境など、さまざまな面を加味し、事故やトラブルが起きないように注意をしなくてはなりません。

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