2024年03月01日

労働基準法で決められている休憩時間は何分?ルールは守れていますか?

WORKのブロックの上に時計

労働基準法では、休憩時間の最低基準や設定方法などを細かく決めています。ルールを守っていない場合、懲役刑や罰金刑などの重い刑罰が科せられるケースもあるので、使用者は休憩時間のルールをこの機会にマスターしておきましょう。

労働基準法で決められている休憩時間のルールとは?

労働基準法では、労働時間が1日6時間以上になる場合、使用者は最低45分以上の休憩時間を設定しなければならないとしています。これは労働基準法の第34条に記載されている内容であり、守れなかった使用者には懲役刑や罰金刑が与えられるほどの厳しいルールです。

労働基準法の第34条には、休憩時間に関して細かくルールが決まっていますので、内容を確認しておきましょう。

休憩時間は働く時間によって変わる

ワークライフバランスのブロック

仕事中の休憩時間は、労働者の働く時間によって変わってきます。どのように設定されているのか、時間別に解説していきましょう。

1日6時間までの勤務で雇用している場合

1日6時間までの勤務で雇用している労働者には、休憩時間を設定しなくてもいいと労働基準法で決められています。そのため法律上で考えると、労働時間の合計が6時間ぴったりになるまでは、ノンストップで働いてもらっても使用者に対し罰則は与えられません。

ただし、「休憩時間を設定しなくてもいい=休憩させてはいけない」という意味ではないので、6時間未満の労働であっても、使用者の判断により休憩時間を設定することは可能です。

1日8時間までの勤務で雇用している場合

1日8時間までの勤務で雇用している労働者には、最低45分間の休憩時間を設定するよう労働基準法で決められています。そのため、使用者は法令違反にならないよう、労働者の働く時間が6時間1秒をオーバーしたら8時間ちょうどになるまで、45分間の休憩時間を設定しなくてはなりません。

ただし、45分間は労働基準法で定められている最低水準なので、使用者は休憩時間を1時間などに延長することも可能です。

1日8時間までの勤務で雇用している人が残業した場合

1日の働く時間が8時間を1秒でも超える場合、労働基準法では最低1時間の休憩時間を設定するよう明記されています。そのため、1日8時間までの勤務で雇用している人に残業を依頼した場合は、15分間の休み時間を追加し、休憩時間の合計を最低1時間(60分)にしなくてはなりません。

このことから、多くの企業では残業の有無によって休憩時間を変える手間を減らすために、1日8時間までの勤務で雇用している場合でも、休憩時間を45分ではなく1時間に設定しています。

休憩時間は仕事の合間に設定する

労働基準法の第34条には、休憩時間を仕事の合間に設定するよう記載されています。そのため、休憩時間を使って始業時間を遅らせたり、退勤時間を早めたりすると、使用者側に労働基準法違反で罰則が与えられるので、注意をしましょう。

休憩時間を設定するタイミングは仕事の合間であればいつでもいいので、使用者は会社の業務が停止しないタイミングで調整してください。

休憩時間は原則、全員に同じタイミングで与える

休憩するビジネスマン

労働基準法の第34条には、原則、労働者全員に同じタイミングで休憩時間を与えなければならないと記載されています。そのため多くの一般企業では、全員が一斉に休憩を取りやすい12時~13時の間を休憩時間として設定しています。

ただし、以下の職種は従業員全員が同じタイミングで休憩を取ると仕事が回らなくなるので、タイミングをずらして休憩を取らせてもかまいません。

 

  •  商業
  •  金融広告業
  •  運輸交通業
  •  映画、演劇業
  •  保健衛生業
  •  接客娯楽業
  •  通信業
  •  官公署

 

また、上記職種でなくても労働者と使用者で労使協定を結んでいる場合は、休憩時間をずらして取ることも可能です。

休憩時間は干渉しない

労働基準法の第34条には、使用者が労働者の休憩時間を干渉してはいけないといった内容が記載されています。そのため、使用者は労働者に対し、休憩時間中に電話や来客対応をお願いしたり、取引先へ向かうよう指示したりすると、労働基準法違反で罰を受けなければなりません。

ただし、以下の職種は休憩時間に業務を依頼しても使用者側が罰を受けることはないので、覚えておきましょう。

 

  •  児童自立支援施設に勤務する職員のうち、児童と生活を共にする者
  •  乳児院・児童養護施設および障害児入所施設に勤務する職員のうち、自動と生活を共にする者
  •  警察官・消防吏員・常勤の消防団員・准救急隊員
  •  居宅訪問型保育事業で雇われている人のうち、家庭的保育者として保育を行う者
    ※同一宅内で複数の家庭的保育者が同時に保育を行う場合をのぞく

 

労働基準法で決められた休憩時間のルールを破るとどうなる?

労働基準法で決められた休憩時間のルールを破ると、使用者は6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金刑に処されます。

6時間以上働かせているにもかかわらず休憩時間を設定していなかったり、労働基準法で決められている休憩時間より下回る分数しか休み時間を設定していなかったりする場合は、刑の対象です。

労働者が労働基準監督署に相談をすると、署から会社へ指導勧告が入ったり、立ち入り調査が行われたりします。あまりにも状況が酷い場合は、先に述べたとおり刑罰に処されることもあるので、注意をしましょう。

労働基準法の休憩時間に関する質問

Q&A

最後に、労働基準法の休憩時間に関する質問について、まとめて回答していきます。使用者の方は従業員がストレスなく仕事を進められるよう、休憩時間に対して正しい知識を身につけておきましょう。

Q.休憩時間で労働基準法違反とみなされるのはどんなとき?

A.休憩時間で労働基準法違反とみなされるパターンは、以下のとおりです。

 

<休憩時間で労働基準法違反とみなされるケース>

  •  労働時間に対して設定されている最低水準の休憩時間を与えていない
  •  対象の職種ではないのに、休憩時間の開始をずらしている
  •  対象の職種ではないのに、休憩時間を自由にさせていない
  •  休憩時間を仕事の合間に設定していない

 

上のような状態が横行している場合、労働者が労働基準監督署に相談をすると、署から会社に指導や立ち入り調査が入ります。酷い場合は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が与えられるケースもあるので、使用者の方は細かいところまでルールを把握しておきましょう。

Q.1回の休憩時間は5分や10分でも良い?

A.労働基準法で決められている最低水準を下回らなければ、1回の休憩時間が5分や10分でも問題ありません。

「休憩時間は働く時間によって変わる」の項目でも解説したとおり、労働基準法では1日の働く時間によって、休憩時間の最低水準が決められています。

労働基準法では、1日の休憩時間が最低水準を下回らない限り、休憩時間を分けて設定しても問題ありません。そのため、1日60分間の休憩が必要な場合は、昼に45分間、15時に15分間というように、休憩時間を分割することも可能です。

ただし、休み時間を分割する場合でも指定された職種でない限り、使用者は休憩時間を全員同じタイミングで取らせなければ、労働基準法を違反しているので注意をしましょう。

また、1回の休憩時間を2分など極端に短くした場合は、合計の休憩時間が最低水準を満たしていても1回あたりの休み時間が十分でないため、「手待時間」としてカウントされます。手待時間は労働時間とみなされるので、休憩時間を分割する場合は時間配分にも気を配りましょう。

まとめ

労働基準法では労働者にとって働きやすい環境をつくるため、労働時間によって休憩時間が決められています。使用者は条例で決められた休憩時間を守らなければ、最悪の場合、刑罰を受けることもあるので、細かい部分まで把握しておきましょう。

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