2023年12月12日

社会保険加入基準の改正ポイントは2つ!対象企業と加入対象者の適用拡大!

社会保険料の用紙

社会保険の加入基準の改正が進められており、企業にとっては気になることが多いと思います。適用対象になった場合、どのような対応が求められるのか、対象加入者はどれくらい増えるのかなどを知っておく必要があるでしょう。

この記事では、社会保険加入基準の改正内容と改正時期や社会保険適用拡大のメリット・デメリット、適用拡大対応の進め方について解説します。適用拡大の対象企業になった場合には、自社に関係する変更点や必要な手続きについてご理解いただけるでしょう。

社会保険加入基準の改正内容・改正時期とは

社会保険加入基準の改正は、対象企業の適用拡大と、短時間労働者に対する適用拡大の2つがあります。それぞれの改正内容や改正時期について見てみましょう。

対象企業の適用拡大

社会保険の対象企業は、以下のとおり段階的に拡大しています。

<社会保険の段階的適用の対象企業>

  • 2016年10月~:被保険者数が501人以上の企業
  • 2022年10月~:被保険者数が101人~500人の企業
  • 2024年10月~:被保険者数が51人~100人の企業

2022年10月に対象になった企業は、上記のとおり被保険者数が101人~500人の企業です。今後、被保険者数が51人以上の企業も適用対象になる予定です。

短時間労働者に対する適用拡大

2022年10月から、社会保険の適用対象になる短時間労働者の条件が以下のとおり拡大されました。

<短時間労働者の適用要件>

  • 変更前:雇用期間が1年以上見込まれる場合
  • 変更後:雇用期間が2ヶ月を超えて見込まれる場合

上記のとおり短時間労働者の適用範囲が拡大されたので、社内の適用対象者がどれくらい増えるのかを確認しておく必要があるでしょう。

社会保険適用拡大のメリット・デメリットとは

メリットデメリット

社会保険の適用範囲が拡大されることによる、企業と労働者に対するメリット・デメリットについてご説明します。

企業のメリット・デメリット

企業のメリット・デメリットは以下のとおりです。

■メリット:優秀な人材が集まりやすくなる
社会保険による保障が拡大することで、優秀な人材が集まりやすくなるというメリットがあります。優秀な人材が増えれば企業の生産性は向上し、多くのメリットを得られるでしょう。

■デメリット:保険料負担、管理コスト負担が増える
社会保険料は企業と労働者が負担するものなので、対象者が増えることで保険料の負担が増えます。また、社会保険の対象になる労働者が増えると管理コストも増大します。どれくらいのコストが増えるのかをあらかじめ試算しておく必要があるでしょう。

労働者のメリット・デメリット

労働者のメリット・デメリットは以下のとおりです。

■メリット:社会保険の保障が充実する
短時間労働者の社会保険の保障が充実することで、安心して暮らせるようになるでしょう。

■デメリット:社会保険料の負担が増える
社会保険料は企業と労働者が負担するため、給与から保険料が差し引かれるようになります。手取りの給料が減る可能性もあるでしょう。

社会保険適用拡大対応の進め方

パソコンで作業する女性

社会保険の適用拡大の対象企業になった場合、拡大対応をどのように進めればよいかをご説明します。やるべきことが多いので、あらかじめしっかり準備しておきましょう。

加入対象者の調査

まずは、自社の従業員のなかに、どれくらいの加入対象者がいるかを調査します。加入対象者は、以下の条件をすべて満たす短時間労働者(パートタイム、アルバイト)です。

<社会保険加入の対象者>
以下の条件をすべて満たす労働者が対象になります。

  • 1週間あたり所定労働時間が20時間以上である
  • 月額給与が88,000円以上である
  • 2ヶ月を超えて雇用される見込みがある(2022年10月の変更点)
  • 学生ではない

上記に当てはまる加入対象者がどれくらいいるかを調べて、洗い出しましょう。

加入対象者の保険料を算出する

新たな加入対象者のリストができたら、対象者の社会保険料を算出します。従業員の月給で決まる「標準報酬額」をもとに、年度ごとに決まる「保険料率」を乗じて計算しましょう。

保険料については、厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトの「社会保険料かんたんシミュレーター」で調べることも可能です。

加入対象者への周知と意思確認

新たな加入対象者に対して、制度の変更や社会保険の加入対象になったことを周知します。原則として、加入対象者の意思には関係なく自動的に加入者になることにご注意ください。

制度の変更内容や社会保険料などについて加入対象者に説明し、理解してもらいましょう。場合によっては、今後の働き方が変わる可能性もあるので話し合いが必要です。

社会保険の加入手続き

日本年金機構に「被保険者資格取得届」を提出し、社会保険の加入手続きをおこないます。従業員の年金番号や個人番号などの情報が必要になります。

申請書類については、日本年金機構の公式ホームページや、電子申請からダウンロードでき、オンライン手続きも可能です。

まとめ

この記事では、社会保険加入基準の改正内容や社会保険適用拡大のメリット・デメリット、適用拡大対応の進め方について解説しました。自社が対象企業になるのか、新たに対象になる従業員はどれくらいいるのかなどをご理解いただけたと思います。対象企業になり対象の従業員が増えた場合は、この記事でご説明したように社会保険の加入手続きが必要です。

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