2023年12月19日

残業代はどのように計算すべき?残業手当の計算方法について解説

OVERTIMEのブロックと時計

従業員の給与計算をする際には、企業の経理担当などが残業手当を含めて計算しなければなりません。残業代をきちんと計算せず、未払いの残業代があると後で請求されることもあるので、注意が必要です。この記事では、残業とは何か、計算に必要な情報や計算内容について解説します。

残業とは何か

残業代の計算方法を確認する前に、まずは残業とは何かについてご説明しましょう。残業とは、就業規則に定められた所定労働時間を超えて仕事をおこなうことです。

たとえば、所定労働時間が9時~17時の場合に18時まで働くと残業時間は1時間で、その分残業手当が発生します。休日に出勤した場合も残業にあたるので、同じように残業代を支払うことになります。ここでは、残業代の計算に必要な情報についてご説明します。

法定労働時間・法定休日

労働時間を考える際に知っておくべきなのが、法定労働時間と法定休日です。

・法定労働時間
労働時間には労働基準法に定められた上限があり、それを「法定労働時間」と呼びます。法定労働時間は、原則として1日8時間、1週間に40時間とされています。

たとえば、労働時間が1日7時間勤務で週6日の場合、1週間の所定労働時間が42時間となり、法定労働時間を超えています。

・法定休日
労働基準法で定められた休日のことです。1週間に1日、または、4週間に4日以上の休日を、従業員に取得させなければなりません。これを法定休日と呼びます。

法定内残業と法定外残業

残業は、前述した所定労働時間によって、法定内残業と法定外残業の2種類にわけられます。法定外残業をおこなった場合には、法律で定められた割増率を乗じた残業代を支払わなければなりません。残業代を計算する場合は、これらの内容を知っておく必要があるでしょう。

・法定内残業
法定労働時間の「1日8時間」、「1週間40時間」を超えない範囲の残業を、法定内残業と呼びます。法定内残業の場合、割増率を乗じた残業代を支払わなくても違法にはなりません。

・法定外残業
法定労働時間の「1日8時間」、「1週間40時間」を超えた残業を、法定外残業と呼びます。法定外残業をおこなった場合は、割増率を加味して残業代を計算する必要があります。

所定労働時間と所定労働日数から1時間あたりの賃金を計算する

時計と電卓と給料袋

残業代を計算するためには、所定労働時間や所定労働日数、1時間あたりの賃金などの情報が必要です。これらの情報についてご説明しましょう。

たとえば、企業が就業規則で定めている労働時間が9時~18時勤務で休憩が1時間の場合、1日の所定労働時間は8時間です。年間の休日が120日の場合、365日ー125日=240日が就業日数です。

これらの内容から1ヶ月あたりの所定労働日数と所定労働時間を計算すると、以下のようになります。

1ヶ月あたりの平均所定労働日数=240日÷12ヶ月=20日
1ヶ月あたりの平均所定労働時間=8時間×20日=160時間

このとき、たとえば1ヶ月あたりの賃金(基本給と各種手当を合計した月給)が20万円だった場合、20万円÷160時間=1,250円が、1時間あたりの賃金です。この1時間あたりの賃金をもとに、残業代を計算します。

残業の種類と割増率

残業代を割り出す際に必要な割増率は、残業の種類によって異なります。法律で定められた最低割増率は、以下のとおりです。

【最低割増率】

残業の種類

最低割増率

法定労働時間を超える時間外労働

1.25

法定労働時間60時間を超過した場合の時間外労働

1.5

深夜労働(22時~5時)

0.25

法定休日労働

1.35

なお、企業は上記よりも設定を下げることはできませんが、上げることは可能です。

残業代の計算方法

パソコンで作業する男性

残業代の計算は、上記の情報からおこなうことが可能です。月給制や時給制などによって計算方法が異なるので、それぞれの計算方法について解説します。

月給制の場合

月給制の正社員の残業代の計算方法をご説明します。

所定労働時間と該当従業員の基本給や残業時間などが、以下のとおりだったとします。

  • 月平均所定労働時間:168時間
  • 残業時間(法定外労働時間):7.5時間
  • 基本給+諸手当:22万円
  • 法定外労働時間の割増率:1.25

この従業員の1時間あたりの賃金は、22万円÷168時間=1,310円です。

7.5時間分の残業代は、1,310円×1.25×7.5時間=12,281円となります。

日給制の場合

日給制の場合の計算方法をご説明します。

該当の従業員の日給などが以下のとおりだったとします。

  • 日給:12,000円
  • 1日の所定労働時間:8時間
  • 残業時間(法定外労働時間):1時間
  • 法定外労働時間の割増率:1.25

この場合、1時間あたりの賃金は、1万円÷8時間=1,500円です。

残業代は、1,500円×1.25×1時間=1,875円となります。

時給制の場合

パートやアルバイトなど時給制の場合の残業代は、以下のように計算します。

  • 時給:1,000円
  • 残業時間(法定外労働時間):3時間
  • 法定外労働時間の割増率:1.25

残業代は、1,000円×1.25×3時間=3,750円です。

まとめ

この記事では、残業とは何か、計算に必要な情報や計算内容について解説しました。残業代を計算する際には、就業規則に定められた所定労働時間や残業の割増率などから正確に計算して支払う必要があります。

残業代の計算が複雑で給与計算業務が煩雑になってしまうなどとお困りの場合は、社労士事務所 Office Followにご相談ください。効率のいい給与計算方法についてアドバイスさせていただきます。