2024年03月05日

産休はいつまで?男性も取得できる?産前・産後休業と育児休業の制度について解説

赤ちゃんを抱っこする夫婦

従業員が出産、育児をする際には、産休や育休の制度を利用します。企業側としては、従業員に対してどのような産休・育休制度を整えておくべきか悩むケースもあるでしょう。とくに、法律で産休や育休についてどのように定められているのかが気になると思います。

この記事では、産休・育休制度について、その期間や取得条件、令和4年10月以降の育休休業制度の改正ポイントについて解説します。

産休とは?

産休には、産前休業と出産後の産後休業があります。出産前の準備期間として休業するのが産前休業、産後の身体を回復させるための休業が産後休業です。労働基準法で、出産するすべての人が取得できると定められています。

ここでは、産前休業と産後休業の休業期間や取得条件についてご説明します。なお、ここでご説明する産休制度は、出産する女性のための制度です。産後期間の男性の育児休暇については、こちら『育児休業制度はどう変わった?』をご覧ください。

産休の期間

産前休業と産後休業の期間は、以下のとおりです。

<産休の期間>

  • 産前休業:出産予定日の6週間前(42日前)、多胎児の場合は14週間前(98日前)から取得可能
  • 産後休業:出産翌日から8週間(56日)

双子などの多胎児の場合は、身体への負担が大きいので、産前休業が長く設定されています。

産休の取得条件

産前休業と産後休業を取得できる条件は、以下のとおりです。

<産休の取得条件>

  • 産前休業:対象者が会社に申請した場合
  • 産後休業:必ず8週間の休業を取得することが義務付けられている

産前休業は出産する対象者が会社に申請すれば、必ず取得できます。

一方、産後休業は法律で取得が義務付けられており、この期間には本人が働きたいと言っても働けません。例外として、出産6週間以降に医師に申請し許可が出た場合には、就業可能です。

育休とは?

育休のブロック

育休(育児休業制度)とは、子育てのために仕事を休業できる制度です。産休とは違い、女性だけでなく男性も条件を満たしていれば取得できます。

なお、男女ともに育休を分割して取得できるようになりましたが、それについてはこちら『育児休業制度はどう変わった?』をご覧ください。

育休の期間

育児休業の期間は、以下のとおりです。

  • 女性の場合:産後8週間の後、子どもが1歳の誕生日を迎える前日までに申請した期間
  • 男性の場合:出産日から1歳の誕生日を迎える前日までに申請した期間

育休期間は原則として1歳までですが、条件を満たせば子どもが最長で2歳になるまで延長することも可能です。ただし、女性、男性どちらの場合も、以下でご説明する取得条件を満たす必要があります。

育休の取得条件

育休は正規雇用の社員だけでなく、パート社員、派遣社員、契約社員、アルバイト社員などの有期雇用の社員も取得できます。ただし、雇用期間が1日単位の従業員は取得できません。男女ともに、育児休業を取得できる条件は、以下のとおりです。

<育休の取得条件>

  1. 同じ勤務先に1年以上継続して勤務している
  2. 子どもの1歳の誕生日が過ぎても勤務し続ける意思がある
  3. 子どもの2歳の誕生日の前々日までに、契約期間が満了する、かつ、契約が更新されないことが明らかになっていないこと

申請時に1年後、2年後の契約がどうなっているかわからない場合でも、育児休業の申請は可能です。ただ、③の条件にあるように、子どもが2歳になる前々日までに契約満了となる有期雇用の派遣社員や契約社員などは、取得できない場合があります。

育児休業制度はどう変わった?

産前産後休暇届けの書類

新たに男性のための「産後パパ育休制度」が創設されました。また、男女ともに、育児休業を分割して取得できるようにもなっています。これらの新制度は、令和4年10月1日から段階的に施行されます。

産後パパ育休は、女性の産後休業と同じ時期に男性が取得できるものです。新たな制度について、主な変更ポイントを以下の表にまとめました。

【産前・産後休業制度と育児休業制度の主な変更ポイント】

 

令和4年10月1日~の新制度

改正前の制度

産後パパ育休制度

育児休業制度

育児休業制度

取得可能日数

子どもの出生後8週間以内に4週間まで取得可能

原則、子どもが1歳になるまで(最長2歳まで)

分割取得について

分割して2回取得可能

分割して2回取得可能

原則分割付加

1歳以降の延長について

育休開始日が柔軟に

育休開始日は1歳と16ヶ月に限定

1歳以降の再取得について

条件により再取得可能

再取得不可

産後パパ育休制度の創設により、男性は子どもが生まれてから1歳になるまでの期間、産後パパ育休を2回、さらに、育児休業を2回に分けて取得できます。つまり、計4回に分けて育休を取得できるということです。女性も2回に分けて育休を取得可能です。これにより、男性と女性が交互に育休を取得して育児を行うなどの柔軟な対応が可能になりました。

それ以外にも、1歳以降の育休延長や再取得時の条件が緩和されています。

まとめ

この記事では、産休・育休制度について、その期間や取得条件、令和4年10月以降の育休休業制度の改正ポイントについて解説しました。従来の産休、育休制度や今回改正された育児休業制度についてご理解いただけたと思います。

自社の産休や育休に関する就業規則をまとめたい、変更したいという場合は、社労士事務所 Office Followが対応いたします。産休・育休制度について不明点があればいつでもご相談ください。