2023年10月31日

雇用保険とは?加入条件や加入手続き、企業側が注意すべき点について解説

雇用保険

雇用保険とは、労働者が失業して働けなくなった場合などに生活を保障するための制度です。従業員を雇用している限り、企業は雇用保険の対応が必要です。しかし、雇用保険の対象になる従業員の範囲はどこまでなのか、どのような対応が必要なのか知りたい場合もあるでしょう。

この記事では、雇用保険について、加入条件や加入手続きの方法、雇用保険に関する注意点について解説します。

雇用保険とは?

雇用保険とは、労働者が失業した場合や育児・介護などのため休業した場合に生活を保障するための保険制度です。

失業や休業のため働けなくなり、収入が途絶えても給付金の支給を受けられますし、就職のサポートや職業訓練を受けることも可能です。条件を満たす労働者は、すべて加入対象です。

雇用保険の加入条件

三つのチェック項目

加入条件は、以下のとおりです。

<雇用保険の加入条件>

  • 31日以上雇用される見込みがある
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上である
  • 学生ではない

上記の条件をすべて満たす従業員は、加入が必要です。ここでは、それぞれの条件についてさらに詳しくご説明します。

31日以上雇用される見込みがある

具体的には、以下のような場合にこの条件が当てはまります。

  • 無期雇用である
  • 契約期間が31日以上ある
  • 契約期間の更新規定があり、31日未満で雇い止めについて明示されていない
  • 契約期間の更新規定はないが、同様の契約をおこなった労働者を31日以上雇用した実績がある

 

1週間の所定労働時間が20時間以上である

所定労働時間とは、雇用契約で決められた一定期間内の労働時間のことです。

たとえば、週の所定労働時間が週4日間、1日4時間の場合は16時間となり、この条件を満たしません。残業を1日1時間おこなって労働時間が20時間になっても所定労働時間は16時間であり、上記の条件には該当しないので注意が必要です。

学生ではない

原則として学生は加入の対象外です。ただし、以下の条件に該当する学生は、前述した2つの条件を満たせば雇用保険の加入対象になります。

<学生で雇用保険に加入対象になる条件>

  • 卒業見込み証明書を持ち、卒業後も同じ企業で働く予定がある
  • 休学中である(休学証明書などが必要)
  • 事業主の承認を得て大学院在籍中である
  • 通信教育、定時制、夜間学校の学生である

学生の場合も上記のような例外条件があるので、注意しましょう。

雇用保険の加入手続きの方法

ハローワーク

加入手続きは、事業主がおこなう必要があります。ここでは、手続きの方法についてご説明します。

手続きは難しいものではなく、「雇用保険被保険者資格取得届」を管轄のハローワークに届け出れば完了です。

手続きをおこなう方法は以下の3とおりがあります。

<雇用保険の加入手続きの方法>

  • ハローワークの窓口に書類を持参する
  • ハローワークに郵送で提出する
  • e-Gov(総務省の行政サービスポータルサイト)から電子申請する

総務省の行政サービスポータルサイトのe-Govから電子申請すれば、24時間いつでも手軽に申請できるのでおすすめです。

雇用保険に関する注意点

ビックリマークのブロック

雇用保険加入に関する注意点についてまとめました。企業が従業員の雇用保険について手続きを進める際に、注意が必要です。

雇用保険の加入義務があるのに手続きをしなかった場合には罰則がある

雇用保険の加入義務がある従業員の加入手続きをおこなわなかった場合には、雇用保険法に基づく罰則が規定されています。

適切に加入手続きをおこなわなかった場合、6ヶ月以下の懲役、または、30万円以下の罰金が科される可能性があります。さらに、未納の雇用保険料の追徴金や延滞金が発生することもあるため、注意が必要です。対象の従業員がいる場合は、すみやかに加入手続きをおこなってください。

他に所属している企業で雇用保険に加入している場合がある

従業員がダブルワークをしている場合などは、他に所属している企業で雇用保険に加入しているケースもあります。雇用保険は他の企業から重複して加入することはできないので、注意が必要です。

もし、他の企業で加入していた場合は、その従業員の収入が少ない方の会社の雇用保険を取り下げる必要があります。とくに、転職して中途採用した従業員が前の会社で、雇用保険に加入したままの場合もあるので、要注意です。

雇用保険の加入を取り下げる場合は、「雇用保険被保険者資格取得・喪失届訂正・取消願」を管轄のハローワークに提出してください。そのうえで、再度加入手続きをおこないましょう。

まとめ

この記事では、雇用保険について、加入条件や加入手続きの方法、雇用保険に関する注意点について解説しました。雇用保険は条件を満たすすべての労働者が加入すべき制度です。そのため、企業側は適切に従業員の雇用保険の加入手続きをおこなわなければなりません。

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