2023年10月31日

雇用契約書がないとどうなる?どのようなリスクがあるのか、作成時の注意点について解説

雇用契約書

雇用契約書とは、企業が労働者を雇用する際に署名・捺印して取り交わす契約書のことです。雇用契約書には、労働条件や給与の計算方法、支払い方法、休日に関する規定などの大事な情報が記載されています。しかし、書類の作成方法がわからない、作成しないとどんな問題があるのか?など疑問に思う場合も多いでしょう。

この記事では、雇用契約書とは何か、雇用契約書がないと起こりうるリスク、作成時の注意点について解説します。

雇用契約書とは

雇用契約書とは、企業と労働者が労働契約内容について合意したことを示す書類で、両者が署名・捺印をおこないます。

必ず明示すべき内容は、以下のとおりです。

<雇用契約書に明示する内容>

  • 労働契約期間
  • 就業場所、業務内容
  • 始業時刻・終業時刻、休憩時間
  • 交替勤務のルール
  • 時間外労働のルール
  • 休日、休暇
  • 賃金の計算方法、支払日
  • 退職や解雇について

雇用契約書を作成して上記のような内容を明記しておけば、後で労使間のトラブルを防ぐことも可能なので、作成をオススメします。

雇用契約書がなくても違法ではない

雇用契約書は作成しなくても、違法ではありません。

企業と労働者の雇用契約の合意について労働契約法第6条で定められていますが、雇用契約書の作成義務については法律がないためです。雇用契約書がなく口頭でも双方が合意すれば、雇用契約が成立します。

労働条件通知書がないと違法になる

雇用契約書の作成義務はありませんが、労働条件通知書を作成しないと違法になります。

労働条件通知書では、労働契約期間、就業場所、業務内容、賃金の決定方法や支払い方法、退職、昇給などについて記載する必要があります。また、それ以外の項目についても社内規定がある場合は、明示しなければなりません。

労働条件通知書は企業側が労働者に一方的に労働条件を通知するための書類で、署名押印などは不要です。記載内容や作成義務について雇用契約書と異なることを、理解しておく必要があるでしょう。

雇用契約書がない場合に起こる可能性があるリスクとは?

握手をするビジネスマン

雇用契約書がないと、どのようなリスクが発生する可能性があるのでしょうか?

労働条件に関してトラブルが起きやすい

雇用契約書は、労働条件に関する細かい内容が明示されており、企業側と労働者側が合意して取り交わすものです。

雇用契約書がないと労働条件があいまいになり、後で労使間のトラブルが発生しやすくなります。たとえば、労働者側から最初に聞いていた給料の額と違う、休日が少ないなどと言われる可能性もあるでしょう。

しかし、あらかじめ雇用契約書で給与額や休日について細かく取り決めておけば、問題ありません。後でトラブルにならないためにも、雇用契約書を作成した置いた方がよいでしょう。

従業員からの信頼を得られない

書面で労働契約を取り交わさないと、企業が従業員から信頼を得られない可能性もあります。きちんと労務管理がおこなわれていない企業で働きたくないなどという理由で、離職者が出てしまう場合もあるため、作成することをオススメします。

試用期間のルールが不明確なためトラブルが起こる可能性がある

雇用契約書で試用期間について取り決めますが、雇用契約書がないと試用期間のルールが不明確になってしまいます。試用期間中は本採用時よりも給与が低く待遇が悪いことが多いため、特にトラブルが起きることが多いです。そのため、雇用契約書で試用期間について取り決めておきましょう。

雇用契約書作成時の注意点

書類にサインする手元

雇用契約書を作成する際の注意点についてご説明します。

絶対的明示事項と相対的明示事項を記載する

雇用契約書には、絶対的明示事項という必ず記載すべき内容があります。以下の絶対的明示事項を必ず記載しましょう。

<絶対的明示事項>

  • 労働契約期間
  • 就業場所、業務内容
  • 始業時刻・終業時刻、休憩時間
  • 交替勤務のルール
  • 時間外労働のルール
  • 休日、休暇
  • 賃金の計算方法、支払日
  • 退職や解雇について

また、以下の相対的明示事項については、社内に規定がある場合に記載します。

<相対的明示事項>

  • 退職手当
  • 賞与などの臨時の賃金
  • 労働者が負担する食費、作業用品など
  • 安全、衛生
  • 職業訓練
  • 災害補償
  • 表彰、制裁
  • 休職

 

採用時の労働条件と相違がないようにする

雇用契約書に記載する内容について、従業員の採用時に説明した給与や休日、勤務時間などの労働条件と相違がないようにします。採用時と条件が違うと、採用後に「採用面接で聞いていた条件と違う」などのトラブルが発生する可能性があります。

採用時の人事担当者と意識のずれがないように、労働条件について確認しておく必要があるでしょう。

労働基準法などの法律に従って作成する

労働基準法などの企業と労働者の雇用契約に関する法律に従って、雇用契約書を作成する必要があります。社内で就業規則を規定している場合は、その内容に沿って作成しましょう。

また、労働基準法などの法律や法令は頻繁に改正されます。その場合、法律や法令の改正に合わせて、就業規則や雇用契約書の内容や書式の変更が必要になる場合もあります。そのため、法改正について最新の情報をチェックしておきましょう。

まとめ

この記事では、雇用契約書とは何か、雇用契約書がないと起こりうるリスク、作成時の注意点について解説しました。雇用契約時に雇用契約書を作成しなくても違法ではありませんが、後でトラブルが起こる可能性もあるので作成しておくことをオススメします。

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