2023年10月31日

雇用契約の更新時には注意が必要!契約更新しない場合の対応や注意点とは?

雇用契約書とペン

有期雇用契約の従業員の契約更新時期が近づいた場合、企業として対応すべきことは数多くあります。更新する場合はそのまま契約更新となりますが、更新しない場合にはさまざまな対応が必要になります。手続きを怠ると、従業員とのトラブルが発生する可能性もあるので注意が必要です。企業側としては、契約の更新について正しい知識を知っておく必要があるでしょう。

この記事では、雇用契約更新契約時に確認すべきこと、契約更新の判断基準、契約更新をしない場合の手続きについて解説します。

雇用契約の更新時には契約書を確認する

有期雇用契約の従業員の雇用契約の更新時期が近づいたら、該当の従業員の直近の契約書を必ず確認しましょう。

以下のような3つのパターンが考えられます。

<契約更新の3つのパターン>

  • 契約を更新しない
  • 契約を更新する場合がある
  • 自動的に契約を更新する

それぞれのパターンについて見ていきましょう。

・契約を更新しない

この場合は、基本的に契約書に基づいて更新しないという選択が可能です。ただし、契約書に更新しないことが明記されているからといって、そのまま契約を終了できるとは限りません。

・契約を更新する場合がある

この場合は、契約書で取り決められている判断基準によって更新するか否かを判断します。

・自動的に契約を更新する

この場合は、原則として契約を更新しなければなりません。

契約更新しないことが認められる場合・認められない場合とは?

書類を確認する女性

該当従業員の直近の契約書に次の契約は更新しないなどと記載されていても、それが認められるとは限りません。ここでは、どのような場合に契約を更新しないことが認められるのか、また、認められないのかについて解説します。

契約を更新しないことが認められる場合

契約を更新しないことが認められる場合は、以下のとおりです。

<契約を更新しないことが認められる場合>

  • 契約を更新しない契約になっており、従業員も合意している
  • 更新期間の上限に達している
  • 事業が縮小される、または、廃止される
  • 担当業務が終了する、または、中止される
  • 該当従業員に業務をおこなうスキルや能力がないと判断された
  • 該当従業員が雇用契約に反した
  • 該当従業員の勤務態度が悪い など

 

契約を更新しないことが認められない場合

契約を更新しないことが認められない場合は、以下のとおりです。

<契約を更新しないことが認められない場合>

  • 契約を更新しない理由が合理的・客観的ではない、相当性がない
  • 該当従業員の業務内容が無期契約の場合と同等である
  • 雇用契約が自動的に更新される状態が続いている
  • 正社員と同等の地位で働いている
  • 勤続年数が長い
  • 契約の更新回数が多い など

5年以上契約を更新し続けている従業員の場合は、有期雇用契約から無期雇用契約に転換する申し込みをおこなうことが可能です。これを企業側は拒否できません。

雇用契約を更新しない場合の手続き

雇用契約書とカレンダー

雇用契約を更新しない場合には、企業は適切な手続きをおこなう必要があります。ここでは、その手続きについてご説明します。

雇用契約書の内容を明示する

契約を更新しないことが明確に記載されている雇用契約書を明示します。また、更新しない判断基準についても明らかにする必要があります。

契約更新をしない理由を明示する

契約を更新しない場合、その正当な理由を明示します。契約書に更新しない旨が記載されているだけでは、不十分です。

たとえば、業務量や業務成績、スキル、などの該当従業員の情報のほか、企業の業績などから、明確な理由を提示しましょう。それらの理由が正当でないと判断された場合、雇用契約を更新しなければならないことがあります。

契約更新をしないことについて予告する

該当従業員が以下の条件を満たす場合、契約更新しないという事実を30日前に予告する必要があります。

<従業員が以下のどちらかの条件を満たす場合に予告が必要>

  • 1年以上雇用されている場合
  • 3回以上契約更新している場合

ただし、すでに事前に伝えている場合には、該当しません。

予告する方法は口頭でも書面でも構いません。ただ、書面で予告しておいた方が、後でトラブルが発生しにくいでしょう。

解雇予告手当を支払う

上記のとおり、条件を満たす従業員の契約を更新しない場合は、30日前に解雇予告をする必要があります。30日前に予告できなかった場合は、予告が間に合わなかった日数分の解雇予告手当を支払わなければなりません。

解雇予告手当は、該当従業員の1日の平均賃金×予告が間に合わなかった日数分を計算して支払います。

まとめ

この記事では、雇用契約更新契約時に確認すべきこと、契約更新の判断基準、契約更新をしない場合の手続きについて解説しました。有期雇用契約の従業員の契約更新日が近づいたら、契約書を確認し事前に準備しておく必要があります。契約を更新しない場合は更新しない正当な理由が必要ですし、さまざまな手続きもおこなわなければなりません。

雇用契約更新をスムーズにおこなうためには、社内で就業規則を適切に定め、契約更新について取り決めておく必要があります。

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