2023年10月31日

給与明細は作成しなければならない?明細項目や作成の流れについて解説

給料明細と電卓

給与明細は、給与の支払い内容や社会保険料、税金の控除額などを従業員に通知するための重要なものです。給与明細に必要な項目を正しく記載し、適切に作成しなければなりません。しかし、給与明細にはどのような内容を記載すればよいのか、必要な情報は何かなどわからない場合もあるでしょう。

この記事では、給与明細を作成すべき理由や明細の記載内容、作成の流れについて解説します。給与明細を作成する際に、参考にしてみてください。

給与明細を作成すべき理由とは?

給与明細を作成して従業員に通知することは企業の義務であり、従業員にとっても大事な書類です。ここでは、給与明細を作成すべき理由についてご説明します。

給与明細を発行することは企業の義務

給与明細を発行することは、企業の義務とされています。給与明細の発行に関連する法律は、以下のとおりです。

ひとつは所得税法で、給与を支払う者は支払いを受ける者に、支払明細書を交付しなければならないと定められています。もうひとつは健康保険法などで、健康保険や厚生年金などの社会保険料を給与から控除する場合、控除額を従業員に通知しなければならないと定められています。

これらの理由により、企業は従業員に対して給与明細を発行しなければなりません。

給与明細は従業員に必要な書類

給与明細は、従業員にとっても大事な書類です。

明細があれば、給与額や手当、税金などを細かく確認できます。また、ローンを組む際や医療費控除などで、収入を証明できる書類として必要な場合もあります。

給与明細の項目や必要な情報とは?

給料明細

給与明細にはどのような項目があるのか、作成する際に必要な情報は何かについてご説明します。

給与明細の項目

給与明細に記載する項目として必要なのは、以下のとおりです。

・勤怠に関する項目

出勤日数、労働時間、残業時間、深夜勤務時間、休日勤務時間、欠勤日数、有給休暇取得日数などを記載します。これらは給与計算のもとになる情報です。

・各種手当に関する項目

基本給と、割増料金が発生する各種手当に関して記載します。残業手当、通勤手当、役職手当、資格手当など、社内で規定されている手当を記載する必要があります。

・総支給額

基本給、割増料金、各種手当などを合計したのが、総支給額です。

・給与から控除される項目

社会保険料や税金など、給与から控除される金額を記載します。具体的には所得税、住民税、厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料などがあります。

・差引支給額

総支給額から控除額の合計を差し引いたものです。いわゆる、手取り給与額です。

給与明細作成に必要な情報

給与明細を作成する際には、必要な情報を集める必要があります。必要な書類は以下のとおりです。

・勤怠記録

出勤日数や勤務時間、有給休暇取得日数などを知るためには、タイムカードなどの勤怠記録が必要です。勤怠管理システムを利用している場合は、勤怠データを集計しやすいでしょう。

社会保険料や税金などを控除するために必要な書類や情報は、以下のとおりです。

<社会保険料や税金などの控除に必要なもの>

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
  • 住民税課税決定通知書
  • 健康保険と厚生年金保険の保険料額表
  • 雇用保険料率表
  • 給与所得の源泉徴収税額表

 

給与明細作成の流れ

ステップ

給与明細の作成の流れについてご説明します。

1.勤務時間の集計

タイムカードや勤務記録表、勤怠管理システムの勤務データなどをもとに、従業員ごとの勤務時間を集計します。

2.残業時間と残業代の計算

勤務時間データの時間外労働時間をもとに、残業時間と残業代を計算します。

3.各種手当の計算

通勤手当、役職手当、資格手当、家族手当など、社内で規定されている手当を計算します。

4.総支給額の計算

基本給、残業代、各種手当を合計した総支給額を計算します。欠勤、遅刻、早退があった場合は、社内規定に基づきその時間分の賃金を差し引きます。

5.社会保険料の計算

給与から控除する社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料など)を計算します。

6.課税支給額と課税対象額の計算

課税支給額とは、所得税などの対象となる金額のことです。通勤手当、出張などの旅費などは非課税のため、課税支給額は以下のように計算します。

課税支給額=総支給額ー非課税支給額(通勤手当や旅費など)

課税対象額とは、所得税の対象となる給与所得のことで、以下のように計算します。

課税対象額=課税支給額ー社会保険料

 

7. 所得税と住民税の計算

所得税と住民税を計算します。

・所得税

課税対象額と「源泉徴収税額表」から所得税を計算します。

・住民税

各自治体の「住民税課税決定通知書」から住民税を計算します。

8.各種控除額の計算

組合費、積立金、財形貯蓄など、社内にその他の控除項目がある場合は、それらを計算します。

9.差引支給額の計算

総支給額から控除額の合計を引いて、差引支給額を計算します。

まとめ

この記事では、給与明細を作成すべき理由や明細の記載内容、作成の流れについて解説しました。給与明細は非常に重要な書類です。給与明細を作成する際には、社内で規定されている給与や手当だけでなく、社会保険や税金などの控除額も記載する必要があります。

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