2023年11月12日

経営を可視化するとはどういうことか?可視化経営のメリットを解説

分析データを見る人

「企業経営を可視化する」という言葉が聞かれるようになりました。企業内の情報やデータを社内で共有し見えやすいようにする可視化経営をおこなえば、企業や従業員は大きなメリットを得られます。

しかし、情報の見える化、可視化が重要なのはわかるが、実際何をどのように進めたらよいのかと悩む経営者も多いでしょう。可視化経営でできることは幅広く、企業によってどのような対策が必要なのかは大きく異なります。

この記事では、可視化経営とは何か、可視化の3つの段階、可視化経営をおこなうメリットについて解説します。

可視化経営とは?

可視化経営とは、企業内の情報やデータを社内で共有し見えやすいようにする経営手法のことです。

商品開発データ、業務の進め方、組織体制、作業分担など、経営判断や業務の進行に必要なデータは多種多様です。そのなかで、何を可視化すべきかを適切に判断し、可視化していくことは容易ではありません。企業戦略に基づいて目的を明確にし、情報やデータを選んで適切に可視化していくことが必要です。

トヨタの見える化の事例

可視化経営の一例として、「トヨタの見える化」の事例についてご紹介します。

自動車メーカー大手のトヨタでは、「アンドン」と呼ばれる手法で製造現場の見える化をおこないました。「アンドン」とは、自動車生産ラインで異常が生じた際に、監督者やほかの作業員に知らせるためのランプのことです。赤、黄、青などに光るランプを設置するというシンプルな方法ですが、素早く異常を周囲に知らせることで、生産性や安全性が大幅に向上したのです。

このように必要な情報を誰にでも見える状態にし、一目見てわかるようにすることが、情報を可視化するうえで非常に重要です。

情報が可視化できていない3つの段階とは?

考える経営者

可視化経営を進める際には、自社の情報の状態がどうなっているかを把握することが重要です。ここでは、情報が可視化できていない3つの段階についてご説明しますので、自社がどの状態にあるかを把握してください。

1.情報がデータとして存在しない状態

そもそも情報がデータとして存在していない状態が、もっとも可視化できていない段階といえます。具体的には、業務の進め方が属人化していて定まっておらずマニュアルがない、社内システムの設計書がない、顧客情報がデータ化されていないなどです。

可視化すべき情報がそもそもデータとして存在していないので、マニュアル化、データ化などが必要です。

2.必要なところにデータが行き届いていない状態

データはあるものの、そのデータが必要な部署や経営者のところに行き届かない状態です。具体的には、顧客データが各部署で管理され商品開発に活かされていない、販売データと仕入れデータが連動しておらず仕入れの無駄が多いなどのケースです。

この場合、適切な業務システムを導入し部門間で連携することで、可視化できるでしょう。

3.データはあるが判断や意思決定に使えていない状態

データが収集・統合されているが適切に分析されておらず、経営の判断や意思決定に使えていない状態です。データが多すぎてどう分析すればよいかわからない、何に活かせるのかわからないなどというケースです。

この場合、データ分析ツールを使ってデータを適切に分析ができる人材やデータを適切に判断できる人材が必要になるでしょう。

可視化経営のメリットとは

見える化のブロックと手

可視化経営をおこなうメリットについて解説します。

属人性の排除による効率化

情報が可視化されていない状態だと、業務や経営判断をおこなう際に属人性が生じてしまいがちです。業務をおこなう際に業務手順が明確でないと、担当者によって業務の内容や質が変わり業務効率や生産性に差が出ることがあります。

そこで業務が適切に可視化され業務マニュアルやノウハウが整備されれば、属人性が排除され効率化が進むでしょう。

従業員の企業への貢献意欲が高まる

企業に関する情報が従業員全体に可視化されることで、従業員の企業への理解度や信頼度が高まります。

企業の経営方針や経営理念、経営状態、方向性などがわからないと、従業員は単に働かされているだけという状態に陥りがちです。しかし、情報がわかりやすく開示されていれば、従業員の企業に対する理解が進み信頼度が高まります。その結果、従業員の企業への愛着度や貢献意欲が増し、企業の業績アップにつながるでしょう。

人材育成の促進につながる

人事評価制度や業務ノウハウなどの情報が可視化されることで、従業員の育成の促進につながります。

人事評価の基準がブラックボックス化していると、従業員はどうすれば昇給や昇格できるかわからずモチベーションを上げられません。しかし、評価基準が明確になれば従業員のモチベーションが高まり、優秀な人材が育ちやすくなるでしょう。また、業務ノウハウや知識が可視化されていれば、人材育成につながります。

可視化経営により優秀な人材が育ちやすい環境が整い人材育成が進めば、企業の生産性の向上や業績アップが期待できます。

まとめ

この記事では、可視化経営とは何か、可視化の3つの段階、可視化経営をおこなうメリットについて解説しました。可視化経営による企業のメリットは多く、検討したいと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、情報の可視化の段階は企業によって異なるため、状況に応じた適切な対応が必要です。

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