2023年11月17日

育児休暇と育児休業は何が違うのか?企業側が対応すべき点を解説

赤ちゃんを抱っこする女性

育児休暇と育児休業という二つの制度は、何が違うのでしょうか?前者は企業が独自に設定する育児のための休暇制度で、後者は国が定めた育児のための休業制度です。企業にとっては、独自の育児休暇を定めるとどのようなメリットがあるのか、具体的にどのような対応が必要なのかなどが気になると思います。

この記事では、育児休暇と育児休業の違い、それぞれの制度の内容や企業にとってのメリット、企業が対応すべきことなどを解説します。

育児休暇と育児休業の違い

二つの制度は名前がよく似ているので混同しがちですが、まったく異なる制度です。

育児休暇は企業が独自に設定する、育児のための休暇制度を指します。一方、育児休業は国が定める公的な制度で、どの企業に対しても対象者や休業期間などが同じです。

企業側としては、国の育児休業制度を正しく理解したうえで、独自の育児休暇制度が必要かを判断する必要があります。従業員の意見を聞き、自社に合った育児休暇制度を制定すべきでしょう。

育児休業とは?

パソコンを見ながらはてなマークが浮かぶ女性

育児休業制度とは、労働者が出産や子育てのために休業できる、国が定める制度です。

育児休業制度とは別に、女性の産前・産後休業制度もあります。また、給付金制度もあり、育児休業給付金や児童手当などの支給を受けることも可能です。

育児休業は男女ともに取得できます。また、法律が改正されて休暇を分割して取得できるようになり、夫婦で交互に休むなどの柔軟な対応も可能です。ここでは、国が定める育児休業の期間や対象者についてご説明しましょう。

育児休業の期間

育児休業の期間は、以下のとおり、男女で異なります。

<育児休業の期間>

  • 女性の場合:産後8週間の後、子どもが1歳の誕生日を迎える前日までに申請した期間
  • 男性の場合:出産日から1歳の誕生日を迎える前日までに申請した期間

育児休業期間は、原則として1歳までです。しかし、条件を満たせば最長で子どもが2歳になるまで延長できます。

育児休業の取得条件

正社員以外にも、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員なども取得できます。ただし、日雇い労働者は取得できません。

育児休業を取得できる条件は、男女ともに以下のとおりです。

<育休の取得条件>

  • 同じ勤務先に1年以上継続して勤務している
  • 子どもの1歳の誕生日が過ぎても勤務し続ける意思がある
  • 子どもの2歳の誕生日の前々日までに、契約期間が満了する、かつ、契約が更新されないことが明らかになっていないこと

申請時に1年後や2年後のことがどうなるかわからなくても、働き続ける意思があれば申請することが可能です。ただし、子どもが2歳になる前に契約が切れることが明らかな場合などは、申請できない可能性があります。

企業独自の育児休暇にはどのようなものがある?

育児休暇にチェックが付いた休暇申請書

育児休暇はそれぞれの企業が独自に決める制度ですが、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?

<育児休暇の例>

  • 男性の育児休暇制度を導入し、最大20日取得可能とする
  • 育児休業の一部を有給にする
  • 子どもが1歳になるまでに特別有給休暇を取得可能とする

企業によって対応が異なりますが、男性の育児休暇制度を新設したり、育児休業を有給化したりして、従業員の育児休暇取得を促進する内容です。従業員が育児休暇を取得しやすい環境にすれば、社員満足度が高まり働きやすい職場になるでしょう。

育児休暇を導入するメリット

育児休暇を導入する企業にとってのメリットには、次のようなものがあります。

<育児休暇を導入するメリット>

  • 企業としてのイメージアップにつながる
  • 従業員の離職を減らせる
  • 女性が活躍しやすくなる

積極的に育児休暇を導入することで、企業のイメージアップを図れます。従業員が出産・子育てをしやすい企業であるというイメージが広まれば、優秀な人材が集まってくる可能性もあります。また、従業員が子育てのために離職することを防ぎ、女性が活躍しやすくなることも、人材不足の解消につながるでしょう。とくに人材不足に悩む企業にとっては、大きなメリットになるはずです。

育児休暇を導入する際に対応すべきこと

パソコンを見る上司と従業員

育児休暇制度を導入する際に、企業が対応すべきことについてご説明します。

育児休暇制度の周知・共有

育児休暇制度を導入するだけではなく、全従業員に制度について周知する必要があります。制度について従業員に知ってもらい、幅広く意見をもらってよりよい制度に変えていくことも重要です。

ハラスメント防止対策の実施

育児休暇を取得した従業員に対するハラスメントが発生する可能性もあります。たとえば、上司が育児休暇の申請を拒否する、男性が育児休暇を取りにくい雰囲気になっているなどの場合、育児休暇制度が浸透しません。

このようなハラスメントを防止するためには、根気強く育児休暇の必要性について、社内に周知し理解を求める必要があります。

まとめ

この記事では、育児休暇と育児休業の違い、それぞれの制度の内容や企業にとってのメリット、企業が対応すべきことなどを解説しました。二つの制度の違いや育児休暇制度についてご理解いただけたと思います。

育児休暇制度を導入したいが方法がわからないなどとお悩みの場合は、社労士事務所 Office Followがサポートいたします。育児休暇に関する就業規則の作成・変更などについて、お気軽にご相談ください。