2023年11月22日

みなし残業とは?導入のメリット・デメリットや導入時のポイントについて解説

仕事をするビジネスマンと時計

みなし残業を導入すると、企業にとってどのようなメリットがあるのか、気になっている経営者の方も多いかもしれません。業務内容によっては、みなし残業制度を導入することで残業代の計算が簡単になる、生産性の向上が期待できるなどのメリットがあります。しかし、導入する場合はデメリットについても検討しておく必要があるでしょう。

この記事では、みなし残業制度の詳細、導入するメリット・デメリット、導入時のポイントについてご説明します。

みなし残業とは?

みなし残業は、基本給のなかに固定の残業代を含めて支払う制度です。毎月一定の残業がおこなわれたものとして、残業代が支払われます。

たとえばオフィスにいる時間が少なく、客先などをまわることが多い営業担当者など、残業時間を正確に把握できないケースがあります。また、研究職など結果を出すために自分の裁量で働くほうが適している場合もあるでしょう。このように、企業側が従業員の残業時間を管理するのではなく、みなし残業代を基本給に含めてしまうほうが適していることもあります。

ただし、みなし残業制度は、残業代を一律で支払えば従業員に残業をさせ放題、という制度ではないので注意が必要です。みなし残業分を超える残業をおこなった場合は、その分の残業代を支払わなければなりません。

みなし残業の種類

就業規則

みなし残業には、事業所内労働と裁量労働制の2種類があります。それぞれの制度の内容についてご説明します。

事業所内労働

事業所内労働は、労働時間を正確に把握しにくい働き方の場合に、基本給に一定時間分の残業代を含める制度です。

たとえば、オフィスで働くことが少なく客先などを移動することが多い営業担当者などが、この制度に該当します。

裁量労働制

裁量労働制は、上司から指示を受けて働くのではなく、従業員が自分の裁量で仕事を進める場合に適している制度です。たとえば、デザイナーや研究者、弁護士などが該当します。

みなし残業を採用するメリット

仕事をするビジネスマン

みなし残業制度を採用することで、企業にどのようなメリットがあるのかをご説明します。

残業代の計算が簡単になる

みなし残業制度を採用すると、従業員一人ひとりの残業代を計算する手間が軽減されます。

みなし残業ではない場合、残業代を計算する際には、従業員全員の残業時間や時間帯から残業代を毎月計算する必要があります。しかし、みなし残業なら残業代が基本給に含まれているため、計算の手間が大幅に削減されるでしょう。

ただし、残業時間が大幅に超過しているケースなどを管理するため、残業時間の記録・管理はしっかりとする必要があります。

従業員の生産性が向上する

みなし残業の場合、従業員は効率よく仕事を終わらせて早く帰ったほうが得です。そのため、従業員が効率よく仕事をおこなうようになり、生産性の向上が期待できます。

みなし残業を採用するデメリット

みなし残業を採用するデメリットについて見てみましょう。

残業代の負担が大きくなることもある

従業員が残業をしてもしなくても、みなし残業時間分の残業代が常に発生します。そのため、従業員が残業をほとんどしていないのに残業手当の負担が大きい、というケースもあります。

また、みなし残業分を超過して残業がおこなわれた場合、超過分の残業代を支払わなければなりません。そのため、残業をほとんどしない従業員と残業時間が多い従業員がいる場合、残業代の負担が大きくなってしまいます。

企業イメージが悪くなる可能性がある

みなし残業に固定の残業代しか出ないのに、残業させ放題というイメージを抱く人も多いです。そのため、みなし残業を採用している企業はブラック企業なのではないか、という悪いイメージをもたれる可能性もあります。

みなし残業導入時のポイント

POINTのブロック

みなし残業を導入する際の重要なポイントについてご説明します。

みなし残業時間設定の目安は「月45時間」

36協定で法定外労働時間の上限は原則45時間と規定されているため、みなし残業時間も45時間以内にするのがよいでしょう。

就業規則・雇用契約書にみなし残業の制度について明記する

みなし残業を導入する場合は、社内の就業規則や契約時の雇用契約書に制度について詳しく明記しましょう。

明確に定めておくべき内容は、以下のとおりです。

<みなし残業制度について明記すべき内容>

  • みなし残業代をのぞいた基本給の額
  • みなし残業時間
  • みなし残業代の計算方法
  • みなし残業時間を超える場合の扱い

 

残業時間を正しく把握する

みなし残業制度を導入した場合にも、従業員の残業時間を正しく把握しておかなければなりません。みなし残業時間を超えた分の残業代を計算する必要があるためです。また、設定されたみなし残業時間が適切かどうかを判断するためにも、残業時間を常に把握しておく必要があります。

まとめ

この記事では、みなし残業制度の詳細、導入するメリット・デメリット、導入時のポイントについてご説明しました。みなし残業制度を導入することで得られるメリットは多いですが、残業代の負担が増える可能性があるなどのデメリットもあります。

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