2023年12月11日

労働条件通知書は労働者の雇用時に作成義務あり!作成時の注意点や作成方法を解説

労働条件通知書

労働条件通知書とは労働者を雇用する際に必要な書類で、企業が労働者に向けて労働条件などを明示するためのものです。しかし、企業側としてはどのような項目について取り決めればいいのかわからない、なぜ作成しなければならないのかなど疑問に思う場合もあるでしょう。

この記事では、労働条件通知書とは何か、労働条件通知書で明示すべき内容、作成時の注意点について解説します。

労働条件通知書とは?

労働条件通知書とは、企業が労働者を雇用する際に労働条件や待遇などを明示するための書類です。

労働条件通知書については、労働基準法第15条第1項で労働契約を締結する際に明示する義務があると定められています。そのため、法律上、雇用契約を結ぶ際に必ず作成しなければならない書類です。

なお、雇用した労働者が正社員以外のパートタイム労働者、アルバイト労働者、契約社員などの場合にも、労働条件通知書を作成する必要があります。

雇用契約書との違い

労働条件通知書とよく似た書類に雇用契約書がありますが、何が違うのでしょうか?労働条件通知書は法律的に作成する義務があり、企業側が労働者に対して一方的に通知する書類です。

一方、雇用契約書は法的に作成義務がなく、雇用契約時にトラブルを回避するために作成する書類です。また、企業と労働者が雇用契約内容を確認しお互いが署名・捺印をする点も、労働条件通知書とは異なります。このように2つの書類は、作成義務や作成する目的が大きく異なります。

労働条件通知書が必要な理由

労働条件通知書は作成が義務付けられているから形式的に作るのではなく、企業側と労働者側の両者のために作成すべき重要な書類です。

企業が労働条件を口頭で労働者に伝えるのではなく、労働条件通知書という書類として渡すことに意味があります。後で企業と労働者との間でトラブルが発生した場合にも、最初に取り決めた労働条件を確認できるためです。トラブルを回避するために、労働条件通知書を作成しましょう。

労働条件通知書で明示すべき内容

CHECKと人差し指

労働条件通知書で明示すべき内容は、必ず明示すべき絶対的明示事項と、社内に規定があれば明示すべき相対的明示事項の2種類があります。それぞれの内容についてご説明します。

絶対的明示事項(必ず明示すべき内容)

必ず明示すべき絶対的明示事項には、以下のようなものがあります。

・雇用契約期間に関する内容
正社員の場合は雇用期間に定めがありませんが、パート、アルバイトなどの場合は雇用期間が決まっている場合があります。該当の労働者は雇用期間に定めがあるのか、ある場合はどれくらいの期間なのかを明示します。雇用期間を更新する場合は、その内容も記載しなければなりません。

・就業場所や業務内容に関する内容
就業場所がどこか、どのような業務をおこなうのかという内容です。また、将来的に就業場所や業務内容が変わる可能性がある場合には、トラブルを避けるために記載しておくのが望ましいでしょう。

・労働時間や休日に関する内容
始業時刻、終業時刻、所定労働時間、休憩時間、休日、年次有給休暇などについて明記します。また、シフト制やフレックス制などの勤務形態についても記載が必要です。

・賃金や昇給に関する内容
賃金の決定方法や計算方法、締め日と支払日、支払い方法、昇給条件などについて明記します。また、残業手当や深夜勤務手当などの詳細な情報も必要です。ただ、昇給条件や評価基準などについては詳しく記載することが難しい場合もあるため、口頭で明示してもよいとされています。

相対的明示事項(規定があれば明示すべき内容)

以下の項目については、社内に規定があれば明示すべき相対的明示事項です。

<相対的明示事項>

  • 退職手当に関する内容
  • 賞与などの臨時の賃金に関する内容
  • 労働者が負担する食費、作業用品などに関する内容
  • 安全、衛生に関する内容
  • 職業訓練に関する内容
  • 災害補償に関する内容
  • 表彰、制裁に関する内容
  • 休職に関する内容

なお、これらの内容は労働条件通知書で明示するのではなく、口頭で明示してもいいとされています。ただ、トラブルにつながる可能性もあるため、書類で明示することをオススメします。

労働条件通知書作成時の注意点

仕事をするビジネスマン

労働条件通知書を作成する際の注意点についてご説明します。

発行から5年間保管する必要がある

労働条件通知書を発行してから、5年間保管する必要があります。従業員の退職後にトラブルに発展する可能性もあるため、必ず保管しておきましょう。

様式に決まりはないがテンプレートを使うのがオススメ

労働条件通知書の様式に決まりはなく、企業独自の様式を使っても問題ありません。自社の様式がない場合は、厚生労働省などのテンプレートを使うのがオススメです。

厚生労働省の様式ダウンロードコーナーなどで様式をダウンロードできます。

書面以外でも発行可能

労働条件通知書は書面でなくても電子メールやFAXなどでの交付も可能です。ただし、労働者から書面での交付が求められた場合は、書面で作成する必要があります。

まとめ

この記事では、労働条件通知書とは何か、労働条件通知書で明示すべき内容、作成時の注意点について解説しました。労働条件通知書は、労働者を雇用する際に必ず作成すべきものです。

労働条件通知書を作成したいが方法がわからないという場合は、社労士事務所 Office Followにご依頼ください。貴社の労務管理業務をサポートいたします。